米カリフォルニア州、2030年までに天然ガスヒーターと給湯器の販売停止へ

(米国)

サンフランシスコ発

2022年09月30日

米国カリフォルニア州大気資源委員会(CARB)は9月22日、連邦政府が定めるオゾン基準を満たすため、2030年までに住宅用と商業建物用の天然ガスヒーターと給湯器の販売を停止することを含む州実行計画(SIP)を承認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。8月に提案されていた同SIPには、今後15年で米国環境大気質基準(NAAQS)のオゾン濃度(注)を達成するための対応戦略が記されている。

同SIPによると、カリフォルニア州の酸化窒素(NOx)排出の5%が住宅や商業建物での天然ガス使用によるもので、住宅や商業建物の天然ガス需要の9割がヒーターと給湯器だという。同SIPで定められるヒーターと給湯器のゼロエミッション化には、新築建物への設置と、既存建物での機器取り換えの両方に適用される。CARBが天然ガスの代替技術として期待するのは、電化住宅向けに販売されているヒートポンプ。これは、圧縮すると温度が上がり、膨張させると温度が下がるという気体の性質を生かした技術で、欧州では広く普及しているが、米国ではまだ一般的でない(「サンフランシスコ・クロニクル」紙電子版9月22日)。

CARBの今回の発表に先立ち、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)は9月15日、住宅や商業建物の天然ガス管の新規設置に対する助成金を廃止すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしており、2023年7月1日から適用となる。また、同州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は9月16日、複数のクリーンエネルギー関連法案に署名し、2045年までに温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロにすることを定めた法案(AB-1279)や、州内で販売される電力資源に関する改定法案(SB-1020)などが成立した。現行法では、同州内でエンドユーザー向けに販売される電力と州機関向けに調達される電力について、再生可能エネルギー資源と無炭素資源から供給する割合を2045年までに100%にすることが定められているが、SB-1020は、段階的な目標割合の追加と州機関向けの期限を変更した。具体的には、再生可能エネルギー資源と無炭素資源からの供給をエンドユーザー向けには2035年までに90%、2040年までに95%にすることを追加し、州機関向けに調達される電力については2035年までに100%とすると変更している。

(注)1年間のうち上位4番目の日の8時間平均値を3年間平均した値が基準値(70ppb)を超えないこと。

(田中三保子)

(米国)

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