バイデン米大統領、国内バイオ産業振興の大統領令に署名

(米国)

ニューヨーク発

2022年09月14日

ジョー・バイデン米国大統領は912日、国内バイオ産業振興に関する大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに署名した。外国産の材料やバイオプロダクションに過度に依存しているとされるバイオテクノロジー関連産業の国内回帰を促し、国内サプライチェーンの強化などを目的としている。

ホワイトハウスが同日に発表した同大統領令実行のためのイニシアチブに関するファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、具体的な取り組みとして(1)国内バイオ製造能力の拡大、(2)バイオ製品の市場機会拡大、(3)研究開発の推進、(4)専門人材育成、(5)バイオ産業製品に対する規制合理化などを掲げている。また、バイオ産業の国内投資の成功例として、新型コロナウイルスに対抗するmRNAワクチン開発を挙げ、同ワクチン開発に際して政府による集中的なサポートが迅速な生産・普及につながったとしている。大統領令に対応する公的資金がどの程度になるか現時点では明らかにされていないが、14日に行政機関などが集まる会議を開催し、新たな投資やリソースを発表する予定としている。

また、バイオ産業振興に関連して、バイデン大統領は大統領令署名後の演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、がんの死亡率減少に向け、新たな治療薬開発を促進させる考えを述べた。米国では、がんは心臓病に次ぐ第2位の死因となっており(2022年1月4日記事参照)、国民病の1つとなっている。バイデン政権は「がんムーンショット」というがん対策を進めており、今後25年間でがん死亡率を半減させることを目指している。バイデン大統領は演説で「月に到着するためにかつて行ったように、米国の創意工夫を結集させた上で、がん治療に向けた長期目標を設定している」と述べ、がん予防のワクチン開発やがん検知の血液検査などを例に挙げ、研究開発を促進し、がん治療に取り組んでいく考えを表明した。

(宮野慶太)

(米国)

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