COP27に向け、アフリカ気候変動適応サミット開催

(アフリカ)

中東アフリカ課

2022年09月27日

オランダのシンクタンクである国際気候変動適応センター(GCA)は、95日にアフリカ連合(AU)、アフリカ開発銀行(AfDB)、IMFなどと共催で、アフリカ気候変動適応サミットをオランダ・ロッテルダムにおいて開催した。

温室効果ガスの排出量が他地域と比べて比較的少ないアフリカでは、気候変動の緩和よりも、洪水や干ばつなど気候変動のインパクトに対する適応の重要性が高い。英国・グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)においても、アフリカなど途上国は、国際社会による適応のための資金的支援を求めてきた。

GCAおよびAfDBは、2021年にアフリカ適応加速プログラム(AAAP)を立ち上げ、2025年までに250億ドルの支援を動員することを目指している。AfDBがその半分に当たる125億ドルを拠出することを表明し、英国、ノルウェー、フランス、デンマークなども支援を発表しているが、目標達成に向けてはより一層の努力が必要な状況となっている。

しかし、サミットにはセネガルやガーナ、コンゴ民主共和国から大統領などハイレベルの参加が多数あったものの、先進国からは、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相(ビデオメッセージのみ)、オランダのマルク・ルッテ首相の参加にとどまるなど、先進国のハイレベル参加は少なく、アフリカ側との温度差が目立った。202211月にエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されるCOP27を控え、AU議長を務めるマッキー・サル大統領は「先進国の多くのリーダーや民間企業代表者らが参加していないことに失望した」といら立ちをあらわにし、「ロッテルダム(アフリカ気候変動適応サミット)は、シャルム・エル・シェイク(COP27)に向けたテストだ。われわれはいつもどおり、ただ議論するだけなのか、それとも本当にファイナンスを動員するのか。これが、われわれがCOP27に期待することだ」と、COP27に向けて一層、国際社会に資金拠出を求めていく考えを示した。

(佐藤丈治)

(アフリカ)

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