8月のインフレ率が年率78.5%に、年末には100%超えの予測も

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年09月21日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は9月14日、8月の消費者物価指数(CPI)上昇率PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。全国平均値で前月比7.0%上昇した。7月の7.4%からわずかに減速したものの、依然として高い水準が続いている。前年同月比(年率)では78.5%上昇し、2022年4月以降、過去30年間で最高水準を毎月更新している(添付資料図参照)。1~8月の累計上昇率(前年12月比)は56.4%に達した。

INDECによると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは8月単月で前月比8.7%上昇し、7月の11.3%と比較して低下した。エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは6.3%、季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は6.8%上昇した。

8月単月の上昇率を費目別にみると、前月比で大きく上昇したのは、衣類・靴類(9.9%)、その他の財およびサービス(8.7%)、家財道具・住宅管理(8.4%)など(添付資料表1参照)。衣類・靴類は年率で100%を超えた。INDECは、主に家政婦や管理人の給与引き上げが家財道具・住宅管理の上昇の要因と分析している。その他の費目が上昇した要因は、交通(6.8%)が公共交通機関料金や燃料の値上げ、医療・健康(5.7%)は民間医療保険の値上げ、住宅・光熱・その他燃料(5.5%)は主に地方での水道および電気料金の引き上げ、通信(4.1%)は携帯電話料金の値上げなどによるもの。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)は7.1%だった。

ジェトロが9月16日にブエノスアイレス市内で価格調査を行った結果、牛乳やヒマワリ油、炭酸飲料、ミネラルウオーター、ビールなど食品・飲料の価格が再び前月比で2桁上昇した(添付資料表2参照)。

9月14日付現地紙「インフォバエ」によると、年末までの残り4カ月で「単月のインフレ率が5.5%を下回るとは考えにくい」と、エコノミストなどが分析しているため、2022年の年間インフレは3桁に到達する見方が強まった。9月には電気およびガスの公共料金、タクシーや地下鉄の運賃、私立学校の学費、ビルの共益費などの値上げが見込まれている。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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