地方国境と慣習的国境の往来を再開へ
(ラオス)
ビエンチャン発
2022年09月06日
ラオス外務省は8月29日、国内各県に対して「地方国境」と「慣習的国境」の再開を許可する通達(2982号)を発布した。
ラオスでは国際国境に加えて、陸路や水路で国境を接する県内に在住するラオス国籍保有者と相手国の同等地域の国籍保有者のみが往来可能な地方国境と、郡内に在住するラオス国籍保有者と相手国の同等地域の国籍保有者のみが往来可能な慣習的国境が設置されている。
同国は新型コロナウイルス対策に伴い、2020年3月から全ての国境で往来を制限していたが(注)、2022年5月9日から国際国境を全面再開したこと(2022年5月10日記事参照)に続き、今回、地方国境と慣習的国境の全面再開も許可した。ただし、相手国側の再開許可も必要なことから、実際には準備が整い次第に再開していくことになる。なお、商工省通商政策局によると、地方国境は32カ所、慣習的国境は48カ所で、タイ、中国、ベトナム、ミャンマー、カンボジアとの間で設置している。
地方国境と慣習的国境では、ラオスの農産物・工芸品の輸出は許可しており、それ以外の品目の輸出は関係機関の許可が必要とされる。輸入は、商用を目的としない範囲で生活用品、農業用機械(耕運機やポンプなど)、農作物、果物、野菜などを許可している。輸入関税は50ドル以下であれば免除される〔2019年9月16日付の地方国境と慣習的国境における商品や物品の輸出管理に関する財務省ガイドライン(No.5308/MOF)〕。このように、商業目的の貿易は禁止しているが、実態は商業を目的とした農産物や日用品などさまざまな物資の輸出入が行われていることから、新型コロナウイルス感染対策による国境閉鎖は地域経済にも大きな影響を与えていたことがわかる。
(注)国際国境や一部の地方国境では、物流輸送やラオス国籍保有者の入国、ビジネス目的の出入国などが特別に許可されていた。
(山田健一郎)
(ラオス)
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