国交の正式回復目指し相互に大使派遣

(ベネズエラ、コロンビア)

ボゴタ発

2022年09月01日

ベネズエラとコロンビア両国は国交の正式回復に向けて828日、新大使を互いの国に着任させた。

2019年にコロンビアのイバン・ドゥケ大統領(当時)がベネズエラ大統領選の結果を認めず、ニコラス・マドゥーロ大統領ではなく、反政府派のフアン・グアイド氏を正式な大統領として認めたことから、同年2月から両国の国交が断絶状態となっている。国境も閉鎖が続き、主要ルートでの正式な貨物輸送はできていなかった。しかし、20228月にコロンビアで左派のグスタボ・ペトロ氏が大統領に就任したことで、両国の関係が改善し始めた。

マドゥーロ政権は特にコロンビアとの国交回復と通商の正式再開に期待を見せている。同大統領は823日の経済界との会合で、両国国境地帯で「2国間地域」と称する経済特区の新設をペトロ大統領に提案すると発表した。ベネズエラ大統領府の発表によると、2国間関係と新段階の協力を開始するため、「2国間地域」をコロンビアのノルテ・デ・サンタンデール県とベネズエラのタチラ州に創設し、その後、同地域をスリア州、アプレ州、アマソナス州など他の国境地帯に拡大する。両国間にまたがる生産・商業活動を推進するため、フリーゾーンのような特別制度を適用した地域の新設することを目指しているもようだ。

一方、コロンビアのアルマンド・ベネデッティ新大使は、早期の首脳会談を実現させると明言している。また、ベネズエラの国営石油公社PDVSAがコロンビア国内に有する肥料子会社モノメロス社の経営権がドゥケ前コロンビア政権下でグアイド氏側に移譲されていることについて、コロンビア政府はマドゥーロ政権に対して、コロンビア政府による同社買取を提案するとの見方が出ている。

国境を接する両国はもともと通商面で依存し合うパートナー関係だった。2007年に両国間の貿易額は73億ドルに達したが、2021年は4億ドルまで低迷している。ベネズエラ側の購買力低下や経済制裁など、以前と環境は異なるものの、国交回復は民間ビジネスの本格再開に向けた第一歩になると期待感が高まっている。

(豊田哲也)

(ベネズエラ、コロンビア)

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