米ムーディーズ、ベトナムの信用格付けを「Ba2」に引き上げ

(ベトナム)

アジア大洋州課

2022年09月15日

米国の格付け会社ムーディーズは9月6日、ベトナム政府が発行する国債の信用格付けを「Ba3」から「Ba2」に引き上げた。同時に、格付けの見通しを「ポジティブ」から「安定的」に変更した。

格付け引き上げの理由として、ムーディーズはベトナムの経済成長力や財政基盤の健全化などを評価した。米中貿易摩擦や中国国内の新型コロナウイルス対策のロックダウンなどを背景に、ベトナム経済はサプライチェーン見直しの恩恵を受けており、外資製造業による投資の加速や輸出の増加につながっている。この流れは多様な自由貿易協定(FTA)の発効によっても後押しされており、ベトナム産の履物や縫製品、農産物などの競争力向上に加え、スマートフォンやコンピュータ・電子機器といった高付加価値品のサプライチェーン構築にも貢献している。

財政面では、長期的なリスクへの備えや財政運営の改善がみられると評価した。政府は経済回復策に予算を投じながらも、公的債務上限をGDP比65%から60%に引き下げるなど、財政運営に慎重な姿勢をみせている。ムーディーズの予測によると、財政赤字は2022年にGDP比3.4%に増えるが、2025年までには2.7%ほどに落ち着くという。

一方、リスク要因としては、公共投資の予算執行の遅れ、国有企業の情報開示や管理が不十分な点などを挙げた。政府予算については、これから取り組みが本格化する気候変動対策に伴う支出の増加に注意を促した。経済面でも、製品価格の上昇や輸出市場の停滞などを受け、今後2年で成長が鈍化するリスクもあると指摘した。また、今後5~10年で浮上するリスクとして、既存の港湾や空港、電力、鉄道といったインフラや労働人口が中国などからの生産移管需要に対応しきれなくなるとの懸念を示した。

ベトナムの格付け引き上げは2018年8月以来(2018年9月3日記事参照)。信用格付けはベトナムへの投資決定をする際の参考指標として重視されることが多く、今回の引き上げをベトナム政府も歓迎している。財務省によると、2022年1~8月に30カ国以上の格付けが引き下げられた中、ベトナムはアジア太平洋地域で唯一引き上げられた国だという。

(庄浩充)

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