グリーン関連行動計画を発表、電力設備の供給体制改善を目指す
(中国)
中国北アジア課
2022年09月02日
中国の工業情報化部と財政部、商務部、国務院国有資産監督管理委員会、国家市場監督管理総局は8月29日、「電力設備のグリーン・低炭素・イノベーション発展を加速するための行動計画」を共同で発表した。また、工業情報化部は同日、当該行動計画の貫徹を目的に解説文書を併せて発表した。
解説文書では、中国の二酸化炭素(CO2)排出の50%近くが電力業界によるもので、カーボンピークアウトやカーボンニュートラルの目標を達成するためには、電力業界のグリーン改革の促進が最優先と指摘。行動計画では6つの重点項目を以下のとおり示した。
1.電力設備・システムのグリーン化アップグレードの実施。新型電力システムの構築を含む発電・送電設備の供給構造を調整。クリーンで低炭素の発電設備の展開を加速し、送配電設備の消費や収容能力の保障性を高め、配電設備の次世代化を加速。電力設備のエネルギー効率を向上させ、資源の循環利用を推進。
2.電力設備の技術革新と能力向上。産業集積の発展を促進し、サプライチェーンの競争力強化を継続。電力設備の核心的技術の発展、イノベーションプラットフォームの建設と産業集積を促進。
3.ネットワーク化・スマート化によるモデルチェンジ。次世代情報技術との融合を深め、電力設備の形態、研究開発手段、生産方式、サービスモデルの革新と変革を加速。電力設備のスマート製造やインダストリアルインターネット(注)を実現したベンチマークとなる企業とモデル区を育成。
4.技術基盤に対する支援と保証。市場を主体に政府の役割をさらに発揮させることで、市場と政府の連携による効果を促進し、産業・技術・サービスの体系を改善し、産業規範の発展を導く。
5.応用モデルのイノベーションを推進。政策による指導と支援を強化し、イノベーションと普及の応用を推進。需要によって供給を牽引し、供給が需要を作り出すというより高い水準でのバランスを形成。
6.電力設備の対外協力。国内・国際それぞれの市場と資源を十分に活用し、国外進出を加速し、国際産業連携を強化。
この行動計画では、これら重点項目を基に今後5~8年で電力設備の供給体制を明らかに改善させるとしている。電力網の効率を高め、高度化、スマート化、グリーン化の実現した発展と応用モデルの加速を続け、国際競争力をさらに強化するとしている。数値的目標として、200ギガワット(GW)超の石炭発電設備を弾力的に改修、再生可能エネルギー発電設備による供給能力を継続的に高めていき、風力発電・太陽光発電設備は1,200GW以上、原子力発電設備は70GW以上の発電能力を満たすとした。
(注)センサーなどのモノとモノをデジタルネットワークでつなげることで、モノを自律的に作動させる仕組み。中国ではさらに、次世代通信技術と工業を融合させた新型プラットフォームを指し、人や機械、物、システムなどをネットワークでつなげ、産業のデジタル化を実現させるものを指す。
(亀山達也)
(中国)
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