米カリフォルニア州、アマゾンを反競争的行為で提訴

(米国)

サンフランシスコ発

2022年09月21日

米国カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官は9月14日、同州の不正競争防止法などに違反する反競争的契約行為により、競争を阻害し価格上昇を引き起こしたとして、アマゾンを相手に訴訟を提起したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

発表によると、ボンタ司法長官は、今回の提訴について次のような理由を挙げている。

  • アマゾンは、ほかの電子商取引(EC)サイトとの価格競争を避けるため、商品がアマゾン以外でより安く販売された場合、売主に厳しい罰則を科す契約の締結を求めている。
  • 売主は、ほかのECサイトにおいて低価格で販売した場合、商品内の「Buy Box」(注)を失ったり、アマゾンに補償したりするなどの厳しい罰則を受け入れる必要がある。

司法長官は、カリフォルニア州上級裁判所に対し、同社の反競争的行為を停止させ、同州の消費者および経済に与えた損害を回復する命令を求めている。アマゾンの広報担当者であるアレックス・ハウレック氏は「カリフォルニア州司法長官は、全く逆のことを言っている。売り主は自分で販売価格を設定している。アマゾンは、幅広い品ぞろえで低価格を実現していることに誇りを持っている。司法長官が求める救済措置は、アマゾンが高価格であることを消費者に強調するよう強いており、奇妙なことに反トラスト法の中核的な目的に反することになる」などと非難した(「ワシントンポスト」紙電子版9月14日)。

米国の司法当局が反競争的行為を理由に同社を提訴した事例は、ほかにもある。例えば2021年5月、首都ワシントンの司法長官は、アマゾンが価格を引き上げ、オンライン小売市場全体のイノベーションや選択を阻害しているとして、同社の反競争的行為の終了を求め提訴した。しかし、裁判所はこの時、訴えを棄却している(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版3月18日)。

(注)アマゾンのショッピングカートボックス。ここに自店舗の名称が表示されなくなることを「Buy Boxを失う」と表現している。

(石橋裕貴)

(米国)

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