ベトナムのエネルギー転換を支援、日本・ベトナム経済担当相が合意

(ベトナム、日本)

アジア大洋州課

2022年09月01日

ベトナムのグエン・ホン・ジエン商工相と西村康稔経済産業相は823日、東京で産業や貿易、エネルギー分野の協力事項を協議した。両大臣は、サプライチェーンの強靱(きょうじん)化や、デジタル技術の活用、エネルギー転換の実現などに向けて、2国間協力をさらに強化していくことで合意した。

この協議は、両大臣が共同議長を務めた第5回「日本ベトナム産業・貿易・エネルギー協力委員会」で行われた。産業面では、サプライチェーン強靭化やデジタル技術の活用のほか、裾野産業育成や人材育成での協力も促進することで一致した。ジエン大臣は、特に自動車や機械、電子、素材、裾野産業の法律や政策の策定と実施について、日本の支援を求めた。

貿易面では、両大臣が環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)における高水準のルールを維持する重要性を確認した。また、ジエン大臣は、日本とベトナムがEU、英国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる数少ない国であることに言及。EUベトナム自由貿易協定(EVFTA)と英国ベトナム自由貿易協定(UKVFTA)の枠組みで、日本原産の繊維製品に対する累積規定(注)の適用について、日本側に検討を促した。

エネルギー面では、西村大臣がベトナムのエネルギー転換の取り組みを支援すると説明。特にアンモニア、水素、バイオマスといったゼロエミッション燃料の導入に対し、資金面と技術面の援助を強化すると伝えた。また、両大臣はベトナムの液化天然ガス(LNG)火力発電所の運営・開発やガス田開発への日本からの投資をベトナムの法規制に従って支援することを確認した。石炭火力のアンモニア混焼、洋上風力、バイオマスの事業についても、ベトナムで両国企業が協力して進める案件を支援することで合意した。

ジエン大臣は同委員会への参加のほか、ジェトロの佐々木伸彦理事長とも面談し、貿易投資促進面での協力を確認した。24日には日本企業との会合に参加し、ベトナムへの投資拡大を訴えるとともに、ベトナムの投資環境改善に向けて日本企業の声に耳を傾ける準備があると述べた。

(注)累積規定とは、1つの締約国(自国)では原産地規則を満たすことができなくても、他の締約国の原産品を自国の原産材料と見なして使用することを認めるもの。

(庄浩充)

(ベトナム、日本)

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