韓米通商閣僚会議を開催、米インフレ削減法やIPEFなど幅広く議論

(韓国、米国)

ソウル発

2022年09月09日

韓国産業通商資源部は9月8日、訪米中の安徳根(アン・ドックン)通商交渉本部長がキャサリン・タイ米国通商代表部(USTR)代表と韓米通商閣僚会議を開催したと発表した。同部の発表によると、会議の概要は次のとおり。

安本部長は「インフレ削減法」(IRA)に関し、電気自動車(EV)税額控除の対象を北米(米国、カナダ、メキシコ)で最終的に組み立てられた製品としていることを差別的措置とし、同問題の早期解決に向けて両国は協力すべきと強調した(2022年8月15日記事参照)。タイ代表は韓国側の憂慮に耳を傾け、両国はIRAに関する2国間協議チャネルを構築することで合意した。

インド太平洋経済枠組み(IPEF、注)や韓米の自由貿易協定(FTA)の履行に関する協力策についても議論し、今後も両国間の戦略的なパートナーシップを強化していくことで一致した。

9月8日に開催されたIPEF閣僚会合には、韓国から首席代表として安本部長が出席した。韓国政府は、アジア太平洋域内の経済活動の促進と投資の活性化、持続可能で包括的な経済成長などを協議する過程で、韓国の国益を最大限反映していくとした。

「聯合ニュース」(9月8日)は、IRAの問題解決の2国間協議チャネルの構築について、「既存のチャネルのほかにIRAを協議するチャネルの設置に合意したことは、この課題に対する米国政府の関心度を示すものだ」と評価した。他方、同ニュースによると、タイ代表が韓国産EVへの「差別的」な扱いに法的に問題があると認めたのかとの問いに対し、安本部長は「この問題の深刻性は米国側も十分に認めている」と答えるにとどまった。さらに、今後のIRAに関する協議日程に関する問いに、「タイ代表とは(ASEAN関連の経済担当相会議などで)来週、再来週に会う予定だ」「USTRとは毎週会うので、この話を続けようとタイ代表に伝えた」と述べ、今後も粘り強く交渉していく姿勢を強調した。

(注)韓国政府は、IPEFの交渉参加に際し、経済的妥当性レビューの実施や公聴会の開催、IPEF推進計画の議決、国会報告などの準備を進めてきた。

(当間正明)

(韓国、米国)

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