1~8月の港湾貨物取扱量、前年同期比0.1%増、物流が「東方シフト」

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2022年09月30日

ロシア商業海港協会の発表(915日)によると、202218月のロシア海港での貨物取扱量は前年同期比0.1%増の55,330万トンだった(添付資料表参照)。1月からの累計で3カ月ぶりに前年同期比増加に転じた。極東海域での増加が全体の増加に寄与した。26日にはロシア政府内で物流に関する会合が開催され、極東を経由したルートの輸送容量拡大に向けて検討が始まった。

海域別で貨物取扱量をみると、バルト海域でウスチ・ルーガ港が12.6%増の一方、サンクトペテルブルク大港が35.7%減となり、全体で1.3%減となった。極東海域では主要港のボストチヌィ港(6.6%増)、ウラジオストク港(8.9%増)が伸びた。輸送大手フェスコ(FESCO)のアンドレイ・セベリロフ社長は「コメルサント」紙(96日)とのインタビューで、欧州の大手物流会社がロシア向け輸送を停止したこと(2022年3月7日記事参照)などにより、欧米の港からバルト海域、アゾフ・黒海域への貨物が減少し、貨物の流れが極東にシフトしていると述べた。

FESCO傘下のウラジオストク商業港では、8月下旬までの3カ月でコンテナ貨物輸入量が1.5倍に増加し、1カ月当たり28,000TEU20フィートコンテナ換算量)に上った。同港を結ぶ航路から撤退する船社も出たが、韓国系の興亜LINEHEUNG A LINE)、中国系の海豊国際(SITC)、沃徳菲航運(GFL)、中谷海運集団などが新たに参入した(タス通信823日)。

インフラニュース(913日)によると、8月単月のロシア海港の貨物取扱量は前年同月比2.0%増の7,1264,000トンで、2カ月連続で前年同月比増を記録した。海域別でみると、極東海域が前年同月比12.2%増の1,979万トンを記録した。

物流が極東にシフトする動きを受け、926日の輸送・物流ルートに関する政府対策本部の会合で、運輸省は極東経由での輸送容量を増やすため、a.極東の港とドライポートの後背地拡大、b.極東の港向けコンテナ列車の本数増加について検討すべきと提案した。本部長のアンドレイ・ベロウソフ第1副首相は関係当局に対し、具体的な施策案を早急に作成するよう指示した。

(浅元薫哉)

(ロシア)

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