国連総会一般討論演説、中南米諸国のロシア批判は限定的

(ブラジル、メキシコ、コロンビア、アルゼンチン、チリ、ペルー、ロシア、ウクライナ)

米州課

米国ニューヨークで920日から開催されている国連総会では、ロシアに対する追及が焦点の1つとなっていた。にもかかわらず一般討論演説では、中南米主要国代表のロシア批判が限定的となっている。

欧米諸国を中心に、ロシアを名指しで厳しく非難する国が多数見られた。そうした中で中南米諸国からは、ロシア非難の直接的な言及はあまり見られず、中には同問題に絡めて中南米域内の諸問題を取り上げたりするなど、欧米諸国とは異なる主旨の演説が目立つ結果となった。

ブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領は、ロシアに対する経済制裁が戦争終結の最善策ではないと発言。交渉と対話の必要性を訴えた。

メキシコのマルセロ・エブラル外相は、ロシアをウクライナとの戦争から防ぐことができなかった国連安全保障理事会の機能不全を指摘。その上で、この問題を平和的に解決するために、国際調停委員会の設置を提案した。

コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領や、アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は、ウクライナ情勢については、対話により戦争の早期終結を願う、と述べるにとどまった。一方で、ペトロ大統領は環境保護と麻薬戦争の終結を訴え、フェルナンデス大統領はキューバとベネズエラに対する制裁解除を要請した。チリのガブリエル・ボリッチ大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻は「不当な戦争」と表現したが、他国の人権侵害にも触れ、それ以上の言及はなかった。ボリッチ大統領は、2019年のデモからの国内情勢やベネズエラからの移民問題を中心に取り上げた。

一方、ペルーのペドロ・カスティージョ大統領は、ロシアによる侵略の違法性を訴えた。また、ウクライナからの穀物輸出の停滞により、発展途上国の農家にも影響が及んでいることにも触れている。

(佐藤輝美)

(ブラジル、メキシコ、コロンビア、アルゼンチン、チリ、ペルー、ロシア、ウクライナ)

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