米労働省、児童・強制労働によって生産された物品リストを更新

(米国、中国)

ニューヨーク発

2022年09月30日

米国労働省は9月28日、国外で国際基準に反する児童・強制労働によって生産された物品(以下「児童労働物品」「強制労働物品」)のリストを更新し、その結果をまとめた報告書を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同リストは「2005年人身取引被害者保護再授権法(TVPRA)」などに基づき、労働省によって2年に1回更新されており、最新のリストには77カ国・地域の計158品目が掲載されている。同リストは、掲載国・地域に制裁などを科すものではなく、企業などがデューディリジェンスを行う際の参考資料と位置付けられている。

リスト掲載物品について、掲載国・地域数が多い順にみると、児童労働物品は金(24カ国)、レンガ、サトウキビ(いずれも18カ国)、強制労働物品はレンガ(9カ国)、衣料品(8カ国)、綿(7カ国)となっている。一方、リスト掲載国を掲載品目数が多い順にみると、児童労働物品ではインド(25品目)、パラグアイ(24品目)、ブラジル(23品目)、強制労働物品では中国(18品目)、ミャンマー(13品目)、インド(10品目)が並ぶ。

労働省は今回、児童・強制労働によって生産されている直接的な証拠はないが、児童・強制労働物品が原材料として使用されている製品のリストも公開した。リチウムイオンバッテリー(中国)や太陽電池セル・モジュール(中国)など10品目が含まれている。これらのうち太陽光発電製品について、労働省は報告書で、中国の新疆ウイグル自治区で強制労働によって生産されたポリシリコンが企業のサプライチェーンに組み込まれるリスクを指摘している。

米国では、新疆ウイグル自治区が関与する製品の輸入を原則禁止するウイグル強制労働防止法(UFLPA)が2022年6月に施行された(2022年8月5日付地域・分析レポート参照)。ポリシリコンは、同法で優先執行分野に挙がっており、米国メディアは既に米国税関・国境警備局(CBP)による太陽光発電製品の輸入差し止めを報じている(2022年8月16日記事参照)。米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)と調査会社ウッドマッケンジーによると、UFLPAに基づく輸入差し止めを含むサプライチェーンの制約は、発電所などの大型プロジェクトに最も大きな影響を与えており、同分野における太陽光発電の導入量は2022年に8.1ギガワット(GW)と2018年以来の低水準に落ち込む見込みだ。

UFLPAの執行状況について、CBPを所管する国土安全保障省のロバート・シルバース次官は、同法施行後920日までの3カ月間で、1,452件の通関が差し止めなどの対象となり、その総額は42,900万ドルに上ったと明らかにしている(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版927日)。また、CBPが9月19日に公表した執行データ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、CBP8月にUFLPAまたは違反商品保留命令(WRO、注)に基づき、838件の通関(総額26,650万ドル相当)を差し止めなどの対象とした。

(注)CBPは、強制労働を使用して生産された製品の輸入を禁じる1930年関税法307条に基づき、WROを発令する権限を持つ。米国の人権関連法・規制や、サプライチェーンに関わる規制の運用、実務上の対応などについては、2021年6月25日付地域・分析レポート調査レポート「グローバル・バリューチェーン上の人権侵害に関連する米国規制と人権デューディリジェンスによる実務的対応」を参照。

(甲斐野裕之)

(米国、中国)

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