カナダ、第2四半期GDPは年率3.3%増、企業在庫投資や個人消費が牽引

(カナダ)

トロント発

2022年09月01日

カナダ統計局が8月31日に発表した2022年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率は前期比年率3.3%増外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、4四半期連続して拡大した。企業の在庫投資や個人消費支出、設備投資が増加したが、住宅投資の減少と輸入の増加が輸出を上回ったことにより、伸びは緩やかなものとなった。

成長に大きく寄与した企業在庫の在庫投資は462億カナダ・ドル(約48,972億円、Cドル、1Cドル=約106円)で、主に卸売り耐久財(機械・建築資材)や非耐久財(肥料)、製造耐久財(機械・航空機)が増加した。

個人消費支出は9.7%増加した。旅行が増え、オフィスに戻る従業員が増えたことから、衣料品や履物への支出が増加し、経済再開によって外国旅行などのサービス支出も8四半期連続で増加した。

民間の設備投資も13.9%増と、7四半期連続で増加した。ブリティッシュ・コロンビア州の液化天然ガス事業やアルバータ州の石油・ガスの設備投資などに加え、旅行需要の復活で、航空機やトラック、バスなどの機械設備投資も増加した。

一方、リフォーム支出の減少に伴って、住宅投資は27.6%減少した。また、輸出は10.9%増加したものの、輸入が30.5%増と輸出を上回った。輸入では、旅行サービス、ガソリン価格の上昇を背景にした電気自動車やハイブリッド車などが拡大に貢献した。

なお、統計局は同日、7月のGDP成長率の速報値が前月比マイナス0.1%となる見通しも発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

統計局による2つの発表を受け、TD銀行のディレクター兼シニアエコノミストのジェームス・オーランド氏は「7月速報値の前月比マイナス0.1%は、経済がフル稼働を超えたところまで到達した今、かねて予想されていた減速が反映されたものだ。言うまでもなく、高インフレと7月のカナダ中央銀行の想定外の1%利上げの影響が出始めている。既に住宅投資にその影響が現れているが、それ以上に今後、消費者動向により大きな影響が出てくることが予想される。中銀が来週(の政策金利発表)も積極的なペースで利上げに踏み切るわれわれの予想を踏まえると、第3四半期(79月)はこれまでのトレンド以下の成長率に鈍化することもあり得る」とコメントしている(TDエコノミクス831日)。

(飯田洋子)

(カナダ)

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