EC市場、新型コロナ規制緩和で変化も拡大続く

(ASEAN、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

シンガポール発

2022年09月20日

米国メタ(旧フェイスブック)と米国ベイン・アンド・カンパニーの共同調査(9月6日発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2022年の東南アジア主要6カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)の2022年の電子商取引(EC)の市場規模は、流通取引総額(GMV)基準で前年比15%増の1,290億ドルになると見込まれている(注)。2022年の前年比伸び率は、2021年水準(48%増)から鈍化する。伸び率が鈍化する理由について、共同調査の報告書では、「オンラインでの購入頻度低下」による可能性を指摘したうえで、(1)新型コロナウイルス感染症対策関連の規制が緩和され、移動の自由度が高まったことで、消費者のオフライン(実店舗)での購入選択が増えたこと、(2)インフレやサプライチェーン圧力による影響を指摘した。

EC市場規模は、2027年に2,800億ドルに達すると試算された。2022年から2027年にかけての年平均成長率(CAGR)は17%と、2桁成長を維持する見込みだ。デジタル消費者(過去1年以内にオンライン購入した人)も増加する。15歳以上の人口全体に占めるデジタル消費者の割合は、2022年に82%(3億7,000万人)、2027年には88%(4億200万人)となる予測されている。

上記の共同調査では、東南アジア主要6カ国の16歳以上の消費者1万5,767人を対象にした調査(2022年6月実施)の結果が含まれている。消費者が商品を「発見」「評価」「購入」するという各プロセスにおいて、オンラインをトップチャンネルとする割合は8割を超えた。

報告書では、「購入」面でオフラインへのシフトが前年に比べわずかに進んだことに言及する一方で、オンラインは依然として消費者にとって重要な「購入」チャネルであることを指摘。オンラインチャンネル別では、ECマーケットプレイス(51%)と代替EC(ライブコマースなど)(22%)のシェアが増加しているとした。

(注)オンラインチャンネルを通じた商品のB2B2C/B2C販売を含み、デジタル商品〔例:SIMトップアップ(入金)〕などは含まない。

(朝倉啓介)

(ASEAN、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

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