中銀、公共料金補助受給者による外貨購入を制限

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年09月22日

アルゼンチン中央銀行は9月15日、中銀通達A7606PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公布し、電気、ガス、水道料金の支払いに対して補助金の適用を受けている者による外貨の購入を制限した。今回の措置は、2022年4月以降、外貨準備高の減少が続いていることから、その積み増しのために導入された。なお、公共料金の補助金を返上することは可能。

アルゼンチンでは、自国通貨ペソの預金金利とペソの対ドル為替レート下落幅がともにインフレ率を下回っていることから、手元のペソをドルに換える需要がある。外国為替市場における7月の外貨取引状況をみると、「穀物・油脂以外の産業」に次いで「個人」が多くの外貨を購入している(添付資料図参照)。そこで中銀は、公共料金の支払いに対して補助金を受給している者による、外国での資産形成や家族送金を目的とした外貨の購入を禁止した。外国での資産形成とは例えば、外国の不動産の購入、外国の銀行口座への預金などを指すが、9月20日付の現地紙「Ambito」によると、1カ月につき200ドルを上限に認められていた外貨の購入そのものが禁止されたとみられる。

中銀は同時に、外貨で決済される有価証券などの取引を行うことも禁じた。従って、9月20日付現地紙「Ambito」によれば、公共料金への補助金を受給している者は、アルゼンチン国債などの有価証券をペソで購入し、それを外貨で売却することで外貨を得る優良スワップ取引(CCL取引)も、できなくなったとみている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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