EV普及で政府と国連工業開発機関が提携

(フィリピン)

マニラ発

2022年09月06日

フィリピン貿易産業省(DTI)のラファエリタ・アルダバ次官は819日、同国での電気自動車(EV)の利用拡大や充電インフラの整備を目指し、国連工業開発機関(UNIDO)と提携することを明らかにした(政府通信社819日付)。UNIDOとの提携は「Eモビリティープロジェクト」で、予算規模は380万ドルを予定している。

同プロジェクトでは、観光地として有名なバギオ市や、南部の中心都市のダバオ市、水産業が盛んなジェネラル・サントス市、経済特区に指定されているクラーク自由港(パンパンガ州)、スービック湾自由港(サンバレス州)を含む5つの都市でEV利用の拡大や充電インフラの整備を進める。アルダバ次官は、UNIDOと提携することで政府や自治体はEVを普及するのに必要な政策や環境構築について、技術的な指導を同機関より受けることができると話した。

EV普及に向けた補助金プログラム策定中

20225月、EVの生産・導入に当たって制度的なフレームワークとなる「EV産業育成法PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(共和国法第11697号)が成立した(2022年5月11日記事参照)。同法では、EVを「化石燃料への依存を低減させる適切な輸送手段」と位置づけ、貨物物流会社や政府機関などでのEV車両の導入目標や専用の駐車スペースの確保など、振興策を盛り込んでいる。アルダバ次官は振興策の一環として、フィリピンでのEV生産に対する補助プログラム策定を進めていることを明らかにした。また、同プログラムについてアルダバ次官は「『包括的自動車産業振興戦略プログラム(CARSプログラム)』(注)と類似の内容になるだろう」とコメントしている。

(注)CARSプログラムでは、フィリピンで新規生産される四輪自動車モデルを対象に、1モデル当たり最大90億ペソ(約225億円、1ペソ=約2.5円)の経費を支援する。6年間で1車種20万台以上を生産し、現地調達率50%を達成することが恩典適用の基準となる。

(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)

(フィリピン)

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