吉林電力、中国初のグリーンアンモニア製造プロジェクトをアピール

(中国)

大連発

2022年09月29日

中国の吉林省発展改革委員会の発表によると、9月23日に同省西部の大安市で風力・太陽光発電でグリーン水素からグリーンアンモニアを製造する一体化モデルプロジェクトが認可された。

同プロジェクトは吉林電力が運営し、投資総額は63億3,200万元(約1,266億4,000万円、1元=約20円)。大安市のクリーンエネルギー化学産業パーク内に建設予定で、700メガワット(MW)の風力発電装置と100MWの太陽光発電装置、220キロボルト昇圧変電所、40メガワット時(MWh)/80MWhの蓄電システムを建設するほか、水素製造、水素貯蔵、18万トン級の合成アンモニアプラントを新設する。稼働後、年間3万2,000トンのグリーン水素、年間18万トンのグリーンアンモニアの製造を目標とし、年間約65万トンの二酸化炭素(CO2)排出を削減できる見込み。吉林電力によると(注1)、同プロジェクトはグリーン水素エネルギー応用分野の全く新しい発展の道で、中国初の試みとなるという。

中国では「ダブルカーボン目標」(注2)が打ち出され、2022年3月に発表された「水素エネルギー中長期発展規画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、水素がカーボンニュートラル実現の重要手段に位置付けられた(2022年3月29日記事参照)。これを受けて吉林省政府は8月24日に「第14次5カ年吉林省エネルギー発展規画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公表した。主な内容としては、(1)ハイレベルの新エネルギー産業サプライチェーンを構築する。特に風力発電、太陽光発電、エネルギー貯蔵、水素エネルギーの4つの産業チェーンに重点を置き、技術の研究開発、設備製造、資源開発、応用サービスを網羅した新エネルギー産業チェーンを構築する、(2)吉林省西部では再生可能エネルギー生産など、中部では水素エネルギー活用など、東部ではエネルギー貯蔵などを促進するとしている。

今回のモデルプロジェクトは、吉林省内(白城市、長春市、延辺市)を横断し、東北3省(ハルピン市、長春市、大連市)を縦断する水素エネルギー回廊の建設を牽引すると期待されている。

(注1)8月30日に吉林電力が開催した同プロジェクトの研究報告会での発言。

(注2)カーボンピークアウトとカーボンニュートラルの実現の2つの目標を指す。2020年9月22日に習近平国家主席は、中国が2030年までにカーボンピークアウト、2060年までにカーボンニュートラルを実現することを目指すと宣言した。

(李莉)

(中国)

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