南アのフィンテック系スタートアップ、急速に事業拡大

(南アフリカ共和国、アフリカ)

中東アフリカ課

2022年09月21日

南アフリカ共和国のフィンテック系スタートアップのノマニニ(Nomanini)が食品大手ネスレや南アのスタンダード銀行などとの提携をてこに、アフリカで急速に事業を拡大している。

ノマニニは2010年の設立で、いまだアフリカの小売市場の中心的存在であるインフォーマルトレーダー(露天商や行商人など小規模零細事業者)を対象として、端末を使って売り上げ管理や在庫管理などができるサービスを提供している。ザンビアでは1万社ほどのユーザーを獲得しているという。

同社は2019年には、アフリカ最大の銀行のスタンダード銀行から400万ドルの出資を受けて戦略提携を発表。ノマニニのユーザーの多くは銀行口座を保有しておらず、金融サービスへのアクセスが限定的だったが、ノマニニが事業者の取引データをスタンダード銀行に提供することで、事業者は新規顧客の紹介や融資、預金を受けられるようにした。また、2020年には食品大手ネスレとの提携も発表。信用格付けの良い事業者には、ネスレが無担保で商品を現物融資するなど、新たなサプライチェーン上のソリューションを追加した。ネスレはアフリカ市場開拓で積極的にアフリカ地場スタートアップとの協業に取り組んでいる(2021316記事参照)。

ノマニニは20227月に、フランスに本社を置いてアフリカで広くマイクロファイナンス事業を展開するバオバブ・グループとの戦略提携を発表。同グループがサービスを展開しているアフリカ8カ国でノマニニのサービスも展開するという。アフリカ・レポート(915日付)によると、さらに追加の資金調達を行い、ガーナやジンバブエ、エジプトなどにも展開していく意向を示すなど、積極的にサービス対象地域の拡大にも取り組んでいる。

(佐藤丈治)

(南アフリカ共和国、アフリカ)

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