ネスレがアフリカ地場スタートアップとの協業を強化

(アフリカ)

中東アフリカ課

2021年03月16日

食品大手のネスレは3月10日、オープン・イノベーションのプラットフォーム「ネスレ・ハッチャー」をスタートさせた。同プラットフォームは、アフリカの東部・南部地域のスタートアップ企業との協業により、同社の抱えるさまざまなビジネス上の課題解決に取り組むもの。プログラムの継続的な実施により、同社独自のエコシステムをアフリカで構築しようとの考えだ。

プロジェクトの第1弾は、同社のネスカフェなどのコーヒーブランドをいかにアフリカの若年層に浸透させていくか、そのためのデジタルソリューションを使ったアイデアを募集するものだ。具体的には、消費者コミュニティーやインターネット小売業者を対象とするロイヤルティープログラムの構築や、人工知能(AI)や仮想現実(VR)、拡張現実(AR)などの最新技術を活用した、消費者体験向上につながる技術などが課題に指定された。選考で選ばれたスタートアップは、資金や同社の研究開発(R&D)施設の利用などの支援を受け、パイロット事業を実施する。4月に締め切り、2回の審査を経て5月下旬にはパイロット事業を行う案件が発表される予定だ。

ネスレは、2019年にもR&D部門が「イノベーション・チャレンジ」と称するプログラムを実施しており、南アフリカ共和国やベナン、タンザニアのスタートアップ企業3社が選ばれている。2020年にも、南アのフィンテック分野のスタートアップとの協業を発表している。最近発表した2020年の決算では、サブサハラ・アフリカ地域の売り上げは2桁成長を達成しており、地場のスタートアップとの協業の強化により、ビジネスモデルに磨きをかけ、さらなる成長につなげていく考えだ。

(佐藤丈治)

(アフリカ)

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