第2四半期の米貿易赤字は2年半ぶりに縮小、エネルギー輸出などが後押し

(米国)

ニューヨーク発

2022年09月27日

米国商務省が9月22日に発表した、2022年第2四半期(4~6月)の貿易統計(国際収支ベース、季節調整済み)によると、輸出(財・サービス)は前期比8.6%増の7,651億ドル、輸入は3.1%増の1兆185億ドルとなった(添付資料表1および図参照)。輸出の伸びが輸入のそれを上回ったことから、赤字額は293億ドル減の2,534億ドルとなった。赤字額の減少は2019年第4四半期以降、10期ぶりとなる。財、サービスの内訳では、財が3,105億ドルの赤字、サービスが571億ドルの黒字だった。

原油価格上昇で、エネルギー関連が増加

財貿易をみると、輸出が前期比10.7%増の5,399億ドル、輸入が2.5%増の8,504億ドルだった。輸出では原油を含むエネルギー関連製品、大豆、化学製品(医薬品を除く)、輸入では原油を含むエネルギー関連製品、金属・非金属製品、自動車部品(エンジン以外、カナダ以外)などが押し上げ要因となった(添付資料表2参照)。

エネルギー関連製品の伸びは、ロシアのウクライナ侵攻などによる原油価格の上昇が影響したとみられる。第2四半期の平均原油価格(WTIスポット)は、前期比15.1%増の1バレル当たり108.72ドルだった。月別では6月に114.84ドルにまで達し、データを確認できる1986年以降では、2008年8月の116.67ドルに次ぐ水準となった。また、原油の輸出量は3.9%増加した。

財貿易を主要国・地域別にみると、輸出では、EUが前期比10.8%増の898億ドルとなり、最大の押し上げ要因になった(添付資料表3参照)。原油(HSコード:2709)、石油ガスそのほかのガス状炭化水素(2711)、航空機(エンジン・部品を含む)(88類)が増加した。次いで、メキシコが8.8%増の845億ドルとなった。石油製品(2710)、石油ガスそのほかガス状炭化水素、ディーゼルエンジン(8408)の伸びが影響した。輸入でも、EUが8.2%増の1,418億ドルとなり、最大の押し上げ要因になった。石油製品、乗用車(8703)、書画(9701)が増加した。次いで、カナダが8.6%増の1,188億ドルと押し上げた。原油、乗用車、アルミニウムの塊(7601)などが増加した。

対中貿易は、輸出入ともに減少したが、輸入の減少幅がより大きかったため、貿易赤字額は4期ぶりに減少した。輸入では、電話機およびそのほかの機器(8517)や血液・ワクチンなど(3002)が減少した。また、対日貿易も、乗用車や半導体製造装置(8486)などの輸入が減少し、赤字額が減少した。

需要後退により2022年後半は輸入減の見通し

9月7日の商務省の発表によると、7月の輸出(財・サービス)は6月より5億ドル増加し2,593億ドル、輸入は97億ドル減少し3,299億ドルとなった。月別でみると、輸入は6月時点で前月比減となっており、インフレなどを背景に購買に対する消費者心理の低下を指摘する声も聞かれる(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版8月4日)。米国コンサルティング会社マリア・フィオリニ・ラミレスのジョシュア・シャピロ米国担当チーフエコノミストは、米国の需要の冷え込みによる輸入の減少が「世界経済活動にとって良い兆候ではなく、今年後半に入るとその傾向が強まりそうだ」との見方を示した(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版9月7日)。

(大原典子)

(米国)

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