3年連続ラニーニャ現象で干ばつが深刻化、穀物生産への打撃も
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2022年09月28日
アルゼンチン農業庁、国立農牧技術院(INTA)および国立気象局(SMN)で構成される国家干ばつ監視委員会が2022年8月に実施した調査によると、国内の農業に適した地域、3,300万~3,400万ヘクタール(ha)のうち、75%が降雨不足による干害に見舞われている。畜産や林業に適した地域を含めると、全国の約1億2,600万haが水不足の状況にある(現地紙「ラ・ナシオン」9月16日)。
国立気象局によると、2022年のアルゼンチンにおける冬季は、過去61年間で7番目に乾燥した冬だった。南米沿岸の海面水温が平年より低い状態が続くラニーニャ現象は、アルゼンチンに降雨不足をもたらす。直近3年の水不足はラニーニャ現象の影響によるもの。3年連続でラニーニャ現象の影響を受けるのは1998年から2001年にかけての3年間以来だ。こうした状況から、アルゼンチン国内では、農業が必要としている降雨量の増加は見込めないとの懸念が高まっている。
ロサリオ穀物取引所(BCR)は9月21日、降雨不足の影響によって小麦の2022/2023年度(2022年9月~2023年8月)の生産量は1,650万トンと、前年度比28%減少する見込みで、過去7年間で最も低い水準になると発表した(添付資料図参照)。前年度(2021/2022年度、2021年9月~2022年8月)は、一時的に雨量が改善したことで、小麦の生産量は過去最高の2,300万トンを達成していた。トウモロコシは、土壌の水分不足が原因で、9月末となってもいまだ作付け作業が開始できていない。そのため、遅まきの作付けが記録的に拡大するとの見通しだ。トウモロコシの2022/2023年度(2022年3月~2023年2月)の生産量は5,600万トンが見込まれる。他方、大豆の作付面積は約1,700万haで、前年度比5.6%拡大し、生産量は4,800万トンを達成する見通し。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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