タイ政府がFTA改定に向け、交渉の枠組みや方針を閣議承認
(タイ)
バンコク発
2022年09月09日
タイ政府は8月30日、タイ商務省が提案した自由貿易協定(FTA)関連草案について閣議承認した。承認された草案は、(1)ASEANおよびASEANの対話パートナーとのFTAの交渉枠組み、(2)ASEAN物品貿易協定(ATIGA)交渉の基本方針、(3)ASEANインド物品貿易協定(AITIGA)の見直し範囲の3つ。
ASEAN、ASEANの対話パートナーとのFTA交渉枠組みは、FTAの締結、見直し、アップグレードに向けた今後の交渉に向け、タイの基本方針として採用される。これまでは2009年に採用された枠組みを用いており、タイのFTA対外交渉における重要分野である115分野(注)から構成されていた。今回は、昨今の貿易を取り巻く環境の変化や持続可能な開発といった観点を踏まえ、(1)原産地規則、(2)税関手続き・貿易円滑化、(3)自然人の移動、(4)中小零細企業(MSMEs)、(5)グッドプラクティス、(6)各種委員会の設置など、制度に関する規定、(7)国営企業、(8)消費者保護、(9)サプライチェーン連結性、(10)その他、の10分野を追加する。今後のFTA交渉では、これらの新分野におけるルール整備、タイへのメリットなども議論の焦点となる。
ASEAN物品貿易協定(ATIGA)交渉の基本方針は、既存のATIGAを最新かつ近代的なものにアップグレードするための交渉に向けたガイドラインで、ASEAN加盟国が共同で起草したもの。具体的には、同方針は、地域経済統合の深化・拡大、貿易障壁措置の防止と貿易円滑化の強化、ASEAN加盟国の世界・地域サプライチェーンへの参加促進を目指している。
ASEANインド物品貿易協定(AITIGA)の見直しの範囲に関する草案は、AITIGAの見直しとアップグレードの交渉に向けて、ASEANとインドが起草したもの。さらなる市場自由化とルール改正に焦点を当て、ビジネスの円滑化を促進する。AITIGAの見直し対象分野は、(1)関税・非関税措置の削減・撤廃、(2)原産地規則、(3)税関手続き・貿易円滑化、(4)衛生植物検疫措置(SPS)、(5)貿易の技術的障害(TBT)、(6)貿易救済措置、(7)経済・学術協力、(8)その他の貿易関連事項などの予定。
(注)既存の枠組みの15分野は、(1)市場アクセス、(2)セーフガード・救済措置、(3)衛生植物検疫措置、(4)貿易の技術的障害、(5)サービス貿易、(6)投資、(7)紛争解決、(8)貿易協力・円滑化、(9)知的財産、(10)電子商取引、(11)政府調達、(12)透明性、(13)競争、(14)環境、(15)労働。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
(タイ)
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