6月のGDP成長率はマイナス4.9%、ガス輸出の減少も影響

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2022年08月02日

ロシア経済発展省は727日、20226月の実質GDP成長率の推計値を前年同月比マイナス4.9%(前月より0.6ポイント減)、第2四半期の推計値を前年同期比マイナス4.0%(前期より7.5ポイント減)と発表した(添付資料表参照)。

落ち込みの要因として、経済発展省は、貨物輸送および中間財の割合が高い自動車製造などの縮小を挙げた。コメルサント(728日)によると、貨物輸送はガス輸出の減少によりパイプラインと鉄道輸送量が縮小し、6月は5.8%減と落ち込みが加速した。ロシア国有企業ガスプロムは、6月から欧州向けガスパイプライン「ノルドストリーム1」の供給量を制限しており、現在の輸送量は従来の40%程度にとどまっている(2022年7月19日記事参照)。

自動車は前年同月比62.2%減だった。5月に生産を停止していた地場最大手アフトワズは、68日から製品の一部の生産を再開したが、多くの外国自動車メーカーは3月初旬から生産停止している(2022年7月11日記事参照)。製造業全体では4.5%減だった。医薬品・医療材料は16.5%増となり、モスクワ州では新型コロナウイルス感染症治療薬の生産が本格化するとともに、製薬企業による投資が相次いだ(ベドモスチ715日)。

内需は低迷している。6月の小売商品売上高は前年同月比9.6%減となり、四半期でみると、第1四半期の3.5%増から第2四半期は9.8%減と減少に転じた。2月以降、堅調に推移していた建設業にも成長の鈍化がみられ、6月は0.1%増にとどまった。

ロシアの公式GDP統計は、連邦国家統計局が四半期別、年別に発表している。これに加え、経済発展省が推計値として月次の成長率を発表している。

(小野塚信)

(ロシア)

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