イランのライーシー大統領が国連総会で演説、岸田首相とも会談

(イラン、米国)

テヘラン発

2022年09月27日

イランのイブラーヒーム・ライーシー大統領は921日、第77回国連総会で演説し、人権や核開発の分野における一部の国による二重基準について非難した。

演説の中で、ライーシー大統領は「もし、ある国が自国内では正義を主張しながら、国外ではテロリストを訓練し、他国で殺りくを行い、あるいは圧力をかけて他国に降伏を強いるのであれば、その国は、人間性、自由、正義の観点から恥ずべきだ」とした。また、「人権分野における一部の政府による二重基準を、人権侵害の最も重要な要因だとし、イランで調査中の事件に対しては多様な立場が生じているのに対し、西側諸国で起きている人権侵害に対しては沈黙している」とした。そして、このような二重基準が続く限り、人権は、繰り返される侵害から安全ではないだろうと述べた。

ライーシー大統領は、イランの平和的な核の活用に対する欧米の二重基準も不正のあらわれだと主張した。イランは核兵器を開発しようとしてはおらず、核兵器はイランの国防戦略には含まれていないとし、この原則は、アリー・ハーメネイー最高指導者のファトワ(イスラーム法学に基づく法的見解)において発表されたものであり、イランの政府と国民にとって、最高指導者によるファトワはいかなる国際的な監視よりも効力が強いと述べた。

また、ライーシー大統領は、20201月に暗殺された革命防衛隊ゴドス部隊のガセム・ソレイマニ司令官について、前米国大統領が関与を認めているとし、公正な裁判を通じて、決定的な判断と正義の実施を追及するとした(9月21日付イラン大統領府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます9月21日付イスラーム共和国通信(IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

ライーシー大統領は、国連総会出席を機に複数の首脳と会談を行っており、921日には日本の岸田文雄首相とも会談した。922日付のイラン大統領府の公表によると、会談の中でライーシー大統領は、両国の関係を友好的で長年にわたるものだとした上で、「米国の一方的な制裁が両国関係に影響を与えるのを防ぐ革新的な方法を見つける必要がある」と述べた。また、チャーバハール港の開発、健康、環境などを含む多くの分野で協力関係をさらに強化できるとした。これに対して岸田首相は、両国の協力関係強化の用意があるとした。また、核合意に向けたイランの継続的な努力を尊重すると述べた(9月22日付イラン大統領府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます9月22日付IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(鈴木隆之)

(イラン、米国)

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