ペルー議会が議長を利益誘導疑惑で解任

(ペルー)

リマ発

2022年09月07日

ペルー議会は9月5日、レディ・メルセデス・カモネス・ソリアーノ議長に対する不信任決議案の採決を行った。決議案は賛成61票、反対47票、棄権5票で承認された。

今回の不信任決議案は、野党で左派のペルー・デモクラティコ(ペルー民主主義:PD)党のギジェルモ・ベルメホ・ロハス議員によって提出された。決議案は、同じく左派のペルー・リブレ(ペルー自由:PL)党、ブロケ・マヒステリアル・コンセルタシオン・ナシオナル(教員団体国家連合:BMCN)党、ペルー・ビセンテナリオ(建国200周年ペルー:PB)党、カンビオ・デモクラティコ・フントス・ポル・エル・ペルー(民主的変化・ペルーと共に:CD-JPP)党、中道左派ポデモス・ペルー(できるぞペルー:PP)党、中道派のアクシオン・ポプラール(人民行動:AP)党、インテグリダッド・イ・デサロージョ(誠実と発展:ID)党所属の23議員の署名を得ていた。

この不信任決議案提出の発端は、アリアンサ・パラ・エル・プログレッソ(進化のための同盟:APP)党のセサル・アクーニャ党首が、北部ラ・リベルタッド州のアルト・トゥルヒージョ住区を、「地区」に格上げする法案を、地方分権委員会で早期承認するよう、カモネス議長に指示している音声テープが明るみに出たことによるもの。APP党はカモネス議長が所属する中道政党で、アクーニャ党首は10月に開催される州知事選挙で立候補する予定だった。アクーニャ党首にとっては、同法案が成立した折には、州知事選で当該地域の住民票を取り込むことができため、カモネス議長と共に「利益誘導」や「職権乱用」などの罪に問われた。

カモネス議長の解任により、議会は規定にのっとり、5日以内に新たな議長の選出を行う(注)。その間の議長任務は、右派フエルサ・ポプラール(人民勢力:FP)党のマルタ・モジャーノ第1副議長が代行する。なお、カモネス議長は9月6日、特別選挙管理委員会(JEE)に対し、流出した音声テープは「私的な場での会話で、かつ違法に録音されたものであり法的根拠に欠ける」と主張したほか、アクーニャ党首の指示に「同意はしていない」と弁明した。

(注)議会規定には議長が解任された場合の3人の副議長の処遇については明示されていないため、過去(2000年)の事例に従って議長のみの選出とする。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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