スタート・ミー・アップ香港2022が開催

(香港)

香港発

2022年09月27日

香港でスタートアップ向けのイベント「StartmeupHK Festival 2022(スタート・ミー・アップ香港・フェスティバル2022)」が9510日、ハイブリッド形式で開催された。今回は「A Future Unlimited(無限の未来)」がテーマに掲げられ、クリーンテック、ヘルステック、プロップテック(注1)、メタバース、スマートシティー、ESG(環境・社会・ガバナンス)などの分野について、香港および海外のスタートアップ、投資家、ビジネスリーダー、専門家、学者らが一堂に会し、シンポジウムやパネルディスカッション、ピッチイベントなどを行った。

このイベントは、香港の投資誘致機関である香港投資推進局(インベスト香港)が2013年から毎年開催(注2)。国際イノベーション科学技術センターの建設を打ち出している香港のエコシステムを世界に向けて発信するとともに、香港での起業を希望するスタートアップの支援を目的としている。

また、会期中の96日には、上述のクリーンテック、ヘルステック、プロップテックなどさまざまな分野に関するシンポジウムに加え、一般客が投票可能な、香港城市大学によるピッチイベント(HK Tech 300-Pitching Arena)が行われた。合計10社の香港発スタートアップが、5分間で自社製品や事業などのプレゼンテーションをして競い合った。最終的に、観客によるオンライン投票により「一番のお気に入りのスタートアップ」が選出された。優勝者のESSAAは、香港城市大学や香港大学の卒業生らが創業したスタートアップ。「Creato」という名のウェブアプリにより、コンテンツクリエーター向けのクラウドファンディングのプラットフォームを提供している。

インベスト香港に所属し、本イベントの責任者である陳幗貞氏は「今回のイベントは、Web3.0(注3)やメタバースなど、持続可能なイノベーション技術がもたらす可能性を模索する機会となった」と総括。また陳氏は、もう1点の今回の重要な論点として「デジタル化の進展が社会全体に及ぼす影響」を挙げた上で、「香港のスタートアップはイノベーションとデジタル化において主導的なプレーヤーとなっており、その将来の発展には無限の可能性を有することを証明した」と述べた。

香港では、2022年末にかけてフィンテック、ジェロンテック(注4)、バイオテックなどなど分野に関わる数多くのサミットや展示会などが行われる予定だ。

(注1Property(不動産)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、テクノロジーによって不動産業界における効率化や問題解決を図ることを意味する。

(注22013年開催時のイベント名は「StartmeupHK Venture Programme」、2016年から現在の「StartmeupHK Festival」に名称が変更された。

(注3)次世代インターネットとして注目される概念。巨大なプラットフォーマーの支配を脱し、分散化されて個と個がつながった世界。電子メールとウェブサイトを中心としたWeb1.0、スマートフォンとSNSに特徴付けられるWeb2.0に続くもの。

(注4Gerontology(老年学)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、テクノロジーによって高齢者が直面する問題解決を図ることを意味する。

〔何樂晴(エスター・ホー〕〕

(香港)

ビジネス短信 4680943448b7d10c