大統領、新憲法草案否決を受けて内閣を改造

(チリ)

サンティアゴ発

2022年09月08日

チリのガブリエル・ボリッチ大統領は96日、大統領就任後初となる内閣改造を行った。今回の内閣改造は、4日に行われた新憲法草案の是非を問う国民投票が、反対多数で否決されたことを受けて実施されたもの(2022年9月6日記事参照)。ボリッチ大統領は、新たな新憲法制定プロセスや国民の要求を満たす政策を推進するために新たな活力を取り入れる必要があるとし、主要閣僚を含む内閣改造を行った。政府は、現政権内で与党・中道左派連合(Socialismo Democrático)出身者を主要ポストに据えることで、野党との関係改善を図る狙いがあるものとみられている。

新内相には、民主主義のための政党(PPD)からカロリナ・トア氏が任命された(添付資料表参照)。同氏は、サンティアゴ区長や下院議員の経験があり、第1次ミチェル・バチェレ政権時の内閣官房長官を務めた人物だ。1973年のクーデターによって始まったチリの独裁政権時に殺害されたホセ・トア元内相の娘でもある。前任のイスキア・シチェス氏に関しては、内相就任当初より、その発言内容の適切性への疑義や、経験不足が頻繁に指摘されていた。

国会との調整役となる大統領府長官には、社会党(PS)のアナ・リヤ・ウリアルテ氏が就任した。同氏は、第2次バチェレ政権時に大統領府の首席補佐官を務めた経験がある。前任のジョルジオ・ジャクソン氏は、ボリッチ政権始動時から、政府の中心人物として国会との調整を担ってきた。しかし、野党のみならず与党との調整も難航する場面が多く、今回は社会開発家族相に起用されることとなった。このほか、エネルギー相には、ボリッチ大統領と同じ社会収束党(CS)のディエゴ・パルドウ氏が就任している。

(岡戸美澪)

(チリ)

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