2023年の最低賃金、月給ベースで4.56%引き上げ
(台湾)
中国北アジア課
2022年09月02日
台湾の労働部は9月1日に基本工資審議委員会(最低賃金審議委員会)を開催し、2023年1月1日以降の最低賃金を、月給ベースで2万6,400台湾元(約12万1,440円、1台湾元=約4.6円)と、現行の2万5,250台湾元から4.56%引き上げる結論に至ったと発表した。時給ベースでは、現行の168台湾元から8台湾元増加の、176元となる。今回の引き上げは、消費者物価指数の上昇率や経済成長率(2022年8月25日記事参照)、社会全体の経済情勢などを踏まえたもの。最低賃金は今後、行政院で決定する見通しで、確定後は月給ベースでは約175万2,100人、時給ベースでは約57万4,600人の労働者が恩恵を受けるという。
2016年5月の蔡英文政権発足後、最低賃金の引き上げは、今回も含め月給ベースで7回、時給ベースで8回実施されている。政権発足前と比較すると、月給は2万8元から31.9%増加、時給は120元から46.7%増加した。
労働部によると、今回の審議委員会では労働者側から、物価上昇により2022年の最低賃金引き上げ効果が薄まっていることや、経済成長は労使双方の努力によるもので、その成果は共有されるべきとの主張があった。経営者側からは、インフレ圧力は労働者に影響を与えていると認めつつ、企業の生産コスト増加と利潤減少にも影響を及ぼしていると主張。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響から完全には回復していない産業に配慮すべきとの指摘があった。専門家からは、消費者物価指数の上昇を十分反映することで、最低賃金の目的である、労働者の生活保障が果たされることや、経済成長の恩恵は労使双方で共有すべきとの意見が寄せられた。労働部は、これらの意見を踏まえ、新型コロナウイルス感染拡大による打撃を強く受けた産業に対する措置を実施すると表明した。なお、同措置の詳細は、産業の状況を踏まえ、今後検討する予定だという。
(柏瀬あすか)
(台湾)
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