タジキスタン投資セミナーがオンラインで開催

(タジキスタン)

欧州ロシアCIS課

2022年09月13日

タジキスタンの投資環境やビジネス機会を紹介するセミナーが、国連工業開発機関(UNIDO)東京事務所、タジキスタン投資・国有資産管理国家委員会、在日タジキスタン大使館の主催により8月31日にオンラインで開催された。

UNIDOによると、タジキスタンは税制・関税上の優遇や経済特区の設立により、外国資本の誘致を進めている。主要産業である綿花栽培、牧畜、繊維産業、アルミニウム生産のほか、水力発電、建設、物流などの分野での発展を目指している。

セミナーでは、ジャロロフ・ミルゾシャリフ駐日タジキスタン大使が、2030年までの国家開発計画として、軽工業、食品産業、冶金(やきん)、機械工学、化学、建材および医薬品の製造に力を入れていくと述べ、日本との合弁企業設立への期待を表明した。2022年1月1日から日本国籍者が、タジキスタンに30日以内の滞在であればビザが不要となり、日本との行き来がしやすくなった。

国際協力機構(JICA)タジキスタン事務所の高坂宗夫所長からは、タジキスタンにおける無償資金協力と技術援助の取り組みの紹介があった。現在は経済・産業開発基盤の整備、基礎的社会サービスの向上、国境管理や治安対策を通じた安定化促進を3つの柱としてプロジェクトを実施しており、大きなものでは道路交通と運輸の発展を目的としたドゥシャンベ‐ボフタル道路の4車線化(総事業費32億円)、電力供給の安定を目的としたドゥシャンベ変電所整備計画(22億円)がある。安定化促進策として、若手行政官の留学受け入れを行っている。研修員受け入れ事業全体では、1993年から延べ2,467人を受け入れた。

ビジネス事例として、日本との合弁企業第1号であるアバリンの事業が紹介された。同社は、甘草(カンゾウ)の根からエキスを抽出してCGA(注)を製造している。2020年までの累計で、甘草の根1万214トンを加工し、CGAを968トン製造した。製品は日本だけでなく世界各国へ輸出され、目薬、茶、育毛剤、スパイス、医薬品、化粧品などに使用されている。

タジキスタン投資・国有資産管理国家委員会担当者からは、2022~2026年を「産業発展年」とし、軽工業と冶金での重要プロジェクト実施と外資による中小企業の設立を目指すとの発言があった。現在、エネルギー分野で15件、輸送分野で13件、農業分野で3件、合計約26億ドルの投資案件がある。美しい山々や湖、民族料理などの観光資源も紹介された。

(注)粗グリチルリチン酸の英語名Crude Glycyrrhizic Acidの略。

(小林圭子)

(タジキスタン)

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