ペルー初の仮想通貨による投資信託開設

(ペルー、米国)

リマ発

2022年09月06日

ペルー資本のエル・ドラド・アセット・マネジメント〔El Dorado Asset Management SAFEDAM)〕は米国のマイニング専門企業(注1)のビットファイブ(Bit5ive)と業務提携し、ペルー初の仮想通貨(ビットコイン)による投資信託(Fondo de Fondos El Dorado Bitcoin Mining FMIV)を証券市場監督庁(SMV)に登録したと発表した。EDAMは太平洋同盟加盟国(メキシコ、コロンビア、ペルー、チリ)の機関投資家やファミリーオフィス(注2)の資産運営を専門としている。今回発表した仮想通貨による投資信託は主に機関投資家を対象としており、9月中に申し込みを受け付けるとしている。

ペルーでは個人の仮想通貨取引は禁止していないが、取引に関する法整備もないのが実態だ。EDAMについても、SMVの認可を受けているが、SMVが取引を推奨または保証しているわけではない。マネーロンダリングやテロ資金供与の防止などの監視を目的に設立されたペルー銀行保険年金基金監督庁(SBS)傘下に所属する資金情報機関(UIF)のセルヒオ・エスピノサ長官は、2020年に国内の仮想通貨取引に関する調査と検証を行っていると発言している。202112月には右派のポデモス・ペルー(できるぞペルー:PP)党所属議員が法案第1042/2021-CR番「仮想資産取引における法的枠組み」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを議会に提出したが、いまだ議会の経済・銀行・金融・財務情報委員会の検討段階にある。同委員会がSBSと中央準備銀行(BCR)に意見を求めたところ、SBSは資金洗浄などの違法行為の温床になること、BCRは仮想通貨自体の不安定性を危惧するなど、いずれも否定的な見解を示している。

一方で、チリに拠点を置き、中南米諸国の仮想通貨を扱うブダ・プント・コム(BUDA.COM)によると、2021年のペルーの同通貨取引件数は前年比で3.6倍になったという。そのうち70%がビットコインをはじめとする仮想通貨売買によるもので、月の平均取引高は7,300万ドルに上り、ペルー市場のポテンシャルに注目している。

(注1)「マイニング」とは、ビットコインなど仮想通貨取引のブロックチェーンを新規に作成し、取引記録を検証や承認に伴う膨大な計算をコンピューターで行うシステム。マイニング企業はその見返りとして報酬を得る。

(注2)富裕層の資産の運用保全を目的としたサービス。

(設楽隆裕)

(ペルー、米国)

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