バイデン米政権、浮体式洋上風力発電を2035年までに15GWに拡大する目標発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年09月21日

バイデン米国政権は9月15日、浮体式洋上風力発電を2035年までに15ギガワット(GW)まで拡大するとの目標を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。バイデン政権は2030年までに洋上風力発電容量を30GWまで拡大する目標を掲げており(2021年3月31日記事参照)、今回の新たな目標はこの目標に基づいて設定したとしている。

浮体式洋上風力発電は、風力発電設備を有する浮体式海洋構造物を海底などに固定させずに水面に浮かばせる。海底に固定されないため、地震や津波などに強い特徴がある半面、設置や維持管理コストは高くなりやすいと言われている。

ホワイトハウスの発表によると、世界で固定式洋上風力発電は50GW以上導入されているが、浮体式洋上風力発電は0.1GWにすぎないという。今回の目標設定により、米国は浮体式洋上風力発電のフロントランナーを目指すとしている。

具体的な設置場所として、従来の洋上風力が東海岸やメキシコ湾周辺の浅い海底を持つ地域に集中しているのに対し、浮体式は比較的深い海域が必要なため、カリフォルニア州やオレゴン州など西海岸沖合や、東海岸のメイン湾などの海域への設置が計画されている。今回の目標が達成されれば、500万世帯の電力需要が賄われるとともに、年間で約2,600万トンの二酸化炭素排出削減につながるとしている。懸念されるコストも、従来の70%以上の削減を目指しており、2035年までに1メガワット時(MWh、1,000MWh=1GWh)当たり45ドルにする目標を掲げている。このコスト削減促進のため、エネルギー省に研究開発投資予算として、2021年11月に成立したインフラ投資雇用法(2021年11月9日記事参照)などから5,000万ドルを拠出することも併せて発表した。

(宮野慶太)

(米国)

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