武田薬品、米国企業とバーチャル電力購入契約(VPPA)締結

(米国、日本)

米州課

2022年09月27日

武田薬品工業は920日、再生可能エネルギーの推進に向け、再生可能エネルギー発電などを手掛けるエネルノースアメリカ(本社:マサチューセッツ州ケンブリッジ)とバーチャル電力購入契約(VPPA、注)を締結したと発表した。

武田薬品によると、エネルのオクラホマ州のセブン・カウボーイ・ウィンド・プロジェクトの79メガワット(MW)分から電力グリッドに送出される電力について、長期的なVPPAを締結した。本契約により、最大で年間35万メガワット時(MWh)の再生可能エネルギークレジット創出を見込んでおり、削減できる温室効果ガス排出量は10万トン以上を見込んでいる。35MWhは、米国一般家庭の年間消費電力約3万世帯分に相当し、米国で見込まれる武田薬品の電力需要を十分に満たすという。

武田薬品は、本契約によって、米国で使用されるエネルギー網に供給される再生可能エネルギーの創出を支援することができ、発行されるグリーン電力証書は武田薬品の二酸化炭素削減目標に充当されるため、同社の持続可能性への取り組みにおける重要な布石と位置付けている。契約期間は12年で、2023年度までに運用を開始する予定だ。

エネルのパオロ・ロマナッチ代表は、米国の脱炭素化を推進する上で、企業が主導的な役割を果たすべきなのは明らかだと述べ、このVPPAを通じて、エネルは武田薬品が同社のサステナビリティ目標に向かって前進するための支援ができることを誇りに思うと述べた。

武田薬品はバイオ医薬品に加え、再生可能エネルギー購入、脱炭素への取り組み、廃棄物処理、生物多様性保全活動を含む天然資源保護にも取り組み、環境保全を推進するとしている。

日本企業が環境問題のニーズを糧に、米国企業と連携する事例はほかにもみられる。例えば富士フイルムは914日、次世代電池の準固体リチウムイオン電池の研究開発を行う米国24Mテクノロジーズ(本社:マサチューセッツ州ケンブリッジ)に2,000万ドルの出資を発表している(2022年9月22日記事参照)。脱炭素社会の実現に向けた電気自動車(EV)の普及や再生可能エネルギー由来電力の利用促進に伴う需要拡大を狙ったものとみられる。

(注)発電事業者と需要者が、環境価値のみを取引し、実際の電力取引は行わない販売形態を指す。

(今井未来)

(米国、日本)

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