富士フイルム、次世代電池技術を持つ米24Mテクノロジーズに出資

(米国、日本)

ヒューストン発

2022年09月22日

富士フイルムは914日、次世代電池の準固体リチウムイオン電池(注)の研究・開発を行う米国24Mテクノロジーズ(本社:マサチューセッツ州ケンブリッジ)に2,000万ドルを出資したと発表した。この出資に当たり、富士フイルムは24Mテクノロジーズと準固体リチウムイオン電池の製造・販売に関するライセンス契約を締結したとしている。

発表によると、脱炭素社会の実現に向けた電気自動車(EV)の普及や再生可能エネルギー由来電力の利用促進に伴い、車載電池や定置用蓄電池の市場が伸長し、それらに使用するリチウムイオン電池の需要も拡大している。また、電池の高い安全性やさらなる高容量化など性能向上に対するニーズも増える中、電解液を固体化や、電池の構造や部材の変更などに関する新電池の研究開発が活発化しているという。

このような状況の中、24Mテクノロジーズは、準固体リチウムイオン電池技術に関するライセンスを複数の製造パートナーに供与し、準固体リチウムイオン電池の市場浸透を図っている。富士フイルムは2020年、24Mテクノロジーズの準固体リチウムイオン電池の技術検証を行うために同社に500万ドルを出資している。また、24Mテクノロジーズの技術と富士フイルムの精密塗布技術や生産技術を組み合わせることで、準固体リチウムイオン電池の量産化に向けた生産基幹技術を確立したとしており、この技術によって準固体リチウムイオン電池の大量生産が可能という。

今後は24Mテクノロジーズと協働して、生産基幹技術の量産実証を開始するとともに、同技術を活用したビジネス展開を図り、高い生産性を有し環境にも配慮した準固体リチウムイオン電池の普及拡大を目指すとしている。

(注)電解液を練り込むことで電極部材を半固形化し、高い安全性とエネルギー密度、環境負荷の削減を実現した電池。

(沖本憲司)

(米国、日本)

ビジネス短信 02ed2674f9bbb254