遼寧省庄河市で揚水発電プロジェクトが着工

(中国)

大連発

2022年09月12日

中国・遼寧省庄河市は99日、国家電網による揚水発電所開発が8日に着工したと発表した。これは、第145カ年(20212025年)規画の期間中に、遼寧省において初めて認可・着工された揚水発電プロジェクトで、東北地域の電力供給体制の向上、電力ピークシェービング、カーボンニュートラル目標の実現に貢献することが期待されている。

庄河市は県レベル(市の下の行政単位)に相当し大連市が管轄している。丹東・大連高速道路などを有し、東北地域の交通ハブとして機能する都市だ。豊富な自然環境から、クリーンエネルギーの開発に力を入れており、既に中国北方地域最大の洋上風力発電プロジェクト基地となっている。庄河市によると、同市は東北3省(遼寧省、黒龍江省、吉林省)で唯一、風力発電、揚水発電、太陽光発電、原子力発電、グリーン水素発電など複数のクリーンエネルギーを同時に開発している。

同発電所は、投資総額679,800万元(約1,3596,000万円、1元=約20円)で、250メガワット(MW)の揚水・蓄電ユニット4基を設置し、年間発電量は1,200ギガワット時(GWh)となる見通し。稼働後は、不安定な新エネルギー供給を補完する。また、火力発電との調整により、年間188,000トンの原炭の燃焼を減らし、年間318,000トンの二酸化炭素(CO2)の排出を削減できると見込まれる。

現在、中国では、新エネルギーを主軸とする新しい電力システムの構築が加速している。揚水発電・蓄電は技術的に成熟してきており、経済性に優れ、大規模開発に適用する蓄電方式として開発に力を入れている(2021年3月26日記事2022年8月2日記事参照)。国家能源局が20219月に発表した「揚水式エネルギー貯蔵の中長期発展規画(2021~2025年)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」によると、2025年までに全国の揚水蓄電容量を62ギガワット(GW)以上、2030年までには120GWまで引き上げることを目指すとされている。

(李莉)

(中国)

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