第2四半期の実質GDP成長率、前年同期比7.6%と好調
(トルコ)
イスタンブール発
2022年09月07日
トルコ統計機構(TUIK)の発表(8月31日)によると、2022年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率は、個人消費と輸出が牽引し、市場予測をわずかに上回る前年同期比7.6%となった。季節・日数調整後の成長率(前期比、年率換算)では2.1%の成長だった。
第2四半期の成長率を支出項目別にみると、GDPの最大項目の家計最終消費支出が前年同期比で前期の21.5%から22.5%と上昇し、成長の要因となった。高インフレ(7月は前年同月比79.6%増)と通貨トルコ・リラ安(年初から約27%減価)が国民の家計支出に影響を与えたとされる。季節・日数調整後の前期比の家計最終消費支出は3.9%増だった。
個人消費とともに上昇率押し上げの要因となった輸出は前年同期比で16.4%だった。輸入は同5.8%にとどまり、純輸出が成長に寄与した。民間投資を含む総固定資本形成は前年同期比4.7%だったが、季節・日数調整後の前期比ではマイナス1.3%と鈍化傾向が見られる。
部門別では、工業が前年同期比7.8%、サービスが同18.1%のプラス成長だった。中でも金融・保険業は同26.6%と成長を牽引した。建設は同10.9%減とマイナス成長が続いている。
レジェップ・タイップ・エルドアン大統領の経済モデルは、利下げを通じた経済成長や、雇用、投資、輸出の拡大を促すもので、懸案のインフレ高進の要因は国外でのコスト上昇であり、利下げではないとしている。8月18日には中央銀行が政策金利(1週間物レポ金利)を100bp(ベーシスポイント、1.0ポイント)利下げし、13%と発表した。また、ヌーレッディン・ネバーティ国庫・財務相も「成長に妥協はない」(「ブルームバーグ」8月31日)と主張し、G20でサウジアラビアに次ぐ高成長となったトルコ経済の特徴はバランスの取れた持続可能で雇用志向の成長と述べた(2022年9月5日付国営アナドル通信
)。
2022年下半期のトルコ経済は、ユーロ圏など主要貿易相手国の景気減速などを背景に外需の勢いが失われ、失速するとみられている。ムーディーズは「強いクレジットインパルス(新規与信の伸び)や最低賃金の引き上げなどの支援策、緩和的な金融政策が国内の消費を支え、強い外需と弱い通貨が輸出と観光業の回復を後押しした」とし、2022年末のGDP成長率予測を3.5%から4.5%に上方修正した(2022年8月31日付国営アナドル通信)。
(中島敏博)
(トルコ)
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