8月の自動車生産は好調も、自動車販売の先行きは不透明に

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年09月15日

アルゼンチン自動車製造業者協会(ADEFA)は9月6日、8月の自動車(トラック、バスを除く)の生産台数および輸出台数を発表した。生産台数は前月比22.8%増、前年同月比40.9%増の5万4,057台、輸出台数は前月比41.6%増、前年同月比30.2%増の3万2,479台だった(添付資料「図1 自動車生産台数の推移」、「図2 自動車輸出台数の推移」参照)。輸出はブラジルと中米向けが引き続き好調で、輸出台数全体を大きく押し上げた(添資料表参照)。

自動車の生産台数は、7月に一部の自動車メーカーが生産ラインの調整などで生産台数を減らしたため、その反動により大きく伸びた。ただ、引き続き、世界的な半導体不足に加えてタイヤ製造業者の労働組合による長期間のストライキが続いており、タイヤの供給不安が自動車生産を下押ししている。

自動車産業にとっての朗報もあり、アルゼンチンの上院が9月1日、2021年8月に政府が提出した「自動車・自動車部品およびバリューチェーン振興に関する法律」の法案(2021年9月10日記事参照)を承認した。下院では7月5日に承認済みのため、官報公示を待つのみとなっている。

自動車の国内販売は、厳しい状況下でも堅調に推移している。アルゼンチン自動車販売代理店協会(ACARA)によると、2022年8月の自動車国内販売(新車登録)台数(トラック・バスを含む)は、前月比2.7%減、前年同月比19.4%増の3万6,787台だった(添付資料図3参照)。ACARAは8月の自動車販売台数について、自動車部品および完成車の輸入が厳しい状況下で健闘している、と評価したが、自動車の供給は一層減少するとの見通しが報じられている。9月1日付の現地紙「アンビト」(電子版)は、8月3日に就任したセルヒオ・マッサ経済相は、外貨準備高のさらなる積み増しに向け、自動車メーカーに対して輸入削減と輸出拡大を要請したと報じている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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