上半期の景気動向調査、日系企業の全業種で業況感がプラスに

(タイ)

バンコク発

2022年09月01日

バンコク日本人商工会議所(JCC)は830日、「2022年上期タイ国日系企業景気動向調査」(注1)を公表した。同調査によると、在タイ日系企業の業況感DI(注2)は、2021年下半期が26となり、前期(33)からプラス幅が縮小したが、2022年上半期は26で前期から横ばいとなる見込みだ。2022年下半期は29と、プラス幅がやや伸長する見込みとなった。

以下、各期について詳しく説明する。2021年下半期の実績値は26となった。一般機械(マイナス13)と建設・土木(マイナス11)を除き、他業種で業況はプラスとなったものの、前期(33)からプラス幅が縮小した。

2022年上半期の業況感はプラス26で、前期(26)から横ばいだが、全業種の業況感がプラスとなった。新型コロナウイルス感染の影響からは回復傾向にあるものの、半導体不足や原材料費、物流費などの高騰が業況感の下押し要因となった。

製造業では、特に繊維(8→30)、化学(5→29)などの業種で業況が改善した。安定した販売先の確保や受注の好調、アジア市場での製造価格の上昇により、販売価格に転嫁できたことなどを業況が改善した要因として挙げる企業が見られた。

一方、電気・電子機械(26→2)、輸送用機械(35→16)などの業種で、業況のプラス幅が縮小した。半導体不足や材料費の高騰、上海市で実施されたロックダウンの影響を業況の下押し要因として挙げる企業が見られた。

非製造業では、燃油価格の上昇の影響を受け、運輸・通信(65→8)など下落幅が大きな業種がみられた。一方、建設・土木(マイナス11→50)などの業種は前期から業況が改善し、プラスに転じた。改善要因として、社会経済が新型コロナウイルスとの共存へと移行するに伴って建設作業が再開したこと、日系製造業の投資が上向き傾向にあることなどが挙げられる。

2022年下半期の見通しは、引き続き全業種がプラスとなり、業況はやや改善(26→29)する見通し。さらなる新型コロナウイルス状況の改善、原材料不足解消などに対する期待が業況の上向き要因となった。

(注1)この調査は2022510日から68日にかけてJCC会員企業1,627社を対象に行い、548社が回答した(回収率33.7%)。

(注2)業況感DIDiffusion Index)は、前期と比較して業況が「上向いた」と回答した企業の割合から、「悪化した」の割合を差し引いたもの。プラスの場合は、前期に比べ業況が改善している企業が悪化している企業よりも多いことを示す。マイナスの場合は、前期に比べ業況が悪化している企業の方が多いことを表す。

(藤田豊、ナオルンロート・ジラッパパー)

(タイ)

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