2022年第2四半期のGDP成長率は8.9%、市場予想上回る

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年08月26日

マレーシア中央銀行と統計局は812日、2022年第2四半期(46月)の実質GDP成長率が前年同期比8.9%だったと発表した〔添付資料「表1 需要項目別実質GDP成長率(前年同期比、前年比)」、「図 実質GDP成長率と項目別寄与度の推移(前年同期比)参照」〕。中銀のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、202161日から実施された完全ロックダウン(FMCO)からの反動増(ベース効果)の影響に加え、労働市場の継続的な回復と政策支援が後押しし、45月のGDP成長が特に堅調だった。20224月以降の国境全面開放に伴い、経済活動が正常化したことも成長に寄与した。

需要項目別にみると、GDP6割を占める個人消費が前年同期比18.3%増と、前期の5.5%増から加速した。労働市場の回復に伴う、消費支出の増加が景気を下支えした。政府消費は、新型コロナウイルス感染対策に関連した支出の減少により、前期の6.7%増から2.6%増に減速したが、引き続きプラスとなった。民間投資は、サービス業と製造業による資本支出の増加で、前期の0.4%増から6.3%増に加速した。公共投資は、とりわけ石油ガス産業の政府系企業や通信産業の資本支出増により3.2%増と、4期ぶりにプラスに転じた。

産業別では、GDP58.1%を占めるサービス業で、小売りが前年同期比21.6%増、自動車が66.3%増、食品・飲料が24.5%増、住宅が2.4倍などいずれもプラスで、消費回復が顕著となった(添付資料表2参照)。製造業は9.2%増と、前期(6.6%増)から加速した。世界の半導体需要の好調が続く中、電子産業が2桁成長を続けた。自動車・輸送機器産業についても、自動車売上税(SST)の減免措置が6月末で終了したことを受け、駆け込み需要が生じたことで2桁成長となった(2022年6月22日記事参照)。

建設業は前年同期比2.4%増と、4期ぶりのプラス成長になった。他方、鉱業・採石は0.5%減と、4期連続のマイナス成長だった。農業は、飼料と肥料の価格高騰や長期にわたる労働力不足を背景にパーム油の減産が続き、2.4%減とマイナス成長に転じた。

格付け大手フィッチが2022年通年の成長率予測を上方修正

20222四半期の堅調な成長率を背景に、格付け大手フィッチ・レーティングスの子会社であるフィッチ・ソリューションズは、2022年通年のGDP成長率予測を従来の5.2%から5.9%に上方修正した。この見通しは、中銀が示す見通し(5.36.3%)のほぼ中間値に当たる(「ザ・エッジ」紙815日)。また、オーバーシー・チャイニーズ(OCBC)銀行のエコノミストは、第2四半期の成長率が市場予想を上回ったことから、中銀が9月に政策金利を0.25ポイント引き上げ、11月にはさらに引き上げる可能性が高いと予測PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)している。なお、政策金利は7月に2会合連続で引き上げられ、2.25%となった(2022年7月8日記事参照)。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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