サムスン電子、「新環境経営戦略」を発表

(韓国)

ソウル発

2022年09月20日

韓国のサムスン電子は9月15日、環境経営の基本的方針となる「新環境経営戦略」を発表した。低消費電力半導体や家電などの開発、再生可能エネルギーの利用拡大による、2050年カーボンニュートラルの達成やリサイクルの拡大が主な柱となっている(注1)。

同社は、2030年までに半導体用プロセスガスの削減や、廃電子製品の回収とリサイクル、水資源の保存、汚染物質の最小化などの環境経営の課題に対し、7兆ウォン(約7,210億円、1ウォン=約0.103円)以上を投資し、ビジネスモデルを環境経営に転換する。新環境経営戦略の概要は次のとおり。

1.カーボンニュートラルに向けた挑戦

(1)部門ごとの達成時期

2030年までにDX部門(家電、IT、モバイルなど)でカーボンニュートラルを達成し、DS部門(半導体・ディスプレーなど)を含む全事業は2050年までの達成を基本目標と設定する(注2)。

(2)排出源別の達成手段

直接排出について、主な排出源である半導体用プロセスガスと液化天然ガス(LNG)などの燃料使用を最小化するため、2030年までにプロセスガスの処理効率を大幅に改善する新技術を開発し、処理施設を各生産ラインに拡大する。また、LNGボイラーの使用を抑えるため、排熱の拡大や電気熱源の導入を検討する。

間接排出については、再生可能エネルギー証書(REC)の購入、グリーン料金制度(Green Pricing)、再生可能エネルギーの電力販売契約(PPA)、再生可能エネルギーの直接発電(Direct Generation)などを通じ、2050年までに使用電力する電力を再生可能エネルギー由来に転換する。

(3)国際的イニシアチブの「RE100」に加盟する。

2.節電製品の開発、資源のリサイクル

(1)主力商品別の達成手段

半導体では、低消費電力技術の確保を通じ、2025年までにデータセンターとモバイル端末で使用するメモリーの消費電力を大幅に削減する。

製品では、スマートフォン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、パソコン、モニターの7種類の製品の代表モデルに低消費電力の技術を採用、2030年の電力消費量を2009年の同一性能モデル比で平均30%削減する。

(2)リサイクル製品の利用拡大

2030年までに製品に使用するプラスチック製品の5割を再生レジンに代替する。廃電子製品の回収も拡大し、2030年までに180カ国に拡大する。これにより、2009年から2030年までの累計で1,000万トン、2050年までの累計で2,500万トンの廃電子回収を目指す。

このほか、半導体製造に必要不可欠な水の再利用の促進、二酸化炭素の貯留・再利用システムの開発と商用化、PM2.5の排出削減技術の開発なども積極的に取り組んでいくとしている。

(注1)同社は世界で最も使用電力が最も多いICT(情報通信技術)製造企業(2021年は25.8テラワット時)。

(注2)同社は2021年に1,700万トン強の二酸化炭素を排出している。

(当間正明)

(韓国)

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