米カリフォルニア州知事がジョージア州の中絶禁止法を非難、映画産業に回帰促す
(米国)
アトランタ発
2022年08月05日
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は8月3日、映画産業関係者に対し、ジョージア州など厳格な中絶禁止法を設けている州からの撮影の引き揚げとカリフォルニア州への回帰を呼び掛けた。映画やテレビなどの撮影・製作が盛んで「南部のハリウッド」とも呼ばれるジョージア州では、妊娠約6週目以降の中絶を禁じる州法が7月20日に発効した。同法が成立した2019年には、ディズニーやネットフリックスなど複数の業界大手が反対の姿勢を示しており、これら企業の今後の対応が注目されている(2022年7月22日記事参照)。
ニューサム知事による映画産業に対する呼び掛けは、政治広告のかたちで行われ、同知事のツイッターにもアップされている。ジョージア州やオクラホマ州など厳格な中絶禁止法を成立させた州を非難し、「これらの州でビジネスを行う際には、企業はこれまで以上に自社の価値観、そして従業員の価値観を把握する責任がある」と注意喚起を行う一方で、カリフォルニア州には「中絶を含む必要な医療サービスにアクセスする自由がある」としている。
カリフォルニア州では現在、映画・テレビ産業に対する税優遇措置の5年間の延長(2030年まで)が州議会において審議されている。ニューサム知事は、ツイッター上で「われわれは戻ってくる人たちのために税優遇措置を延長する」と、同産業関連企業の回帰を促している。
ジョージア州は、エンターテインメント産業向けに税優遇措置を設け、映画やテレビなどの撮影・製作誘致に積極的に取り組んできた。立地選定に関する専門誌「ビジネス・ファシリティーズ」による全米州別ビジネス環境ランキング(注)では、映画・テレビ製作のカテゴリーで同州が1位になっている。同州商務省の発表によれば、2022年度(2021年7月1日~2022年6月30日)には、映画「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」やネットフリックスの「ストレンジャー・シングス」のほか、映画、テレビ、ミュージックビデオなどを含む412本の作品が同州で撮影・製作され、過去最高記録となる44億ドルが費やされた。
(注)2020年7月発表。「映画・テレビ製作」のカテゴリーのランキングは、2020年7月の発表が最新のもの。
(高橋卓也)
(米国)
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