米保健福祉省、新型コロナ感染症の後遺症研究と長期的影響に関する支援リソース発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年08月10日

米国保健福祉省(HHS)は83日、新型コロナウイルスによる後遺症に関するレポートを2点発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。1点目は「新型コロナ後遺症に関する全国研究アクションプランPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」で、後遺症の予防や治療の研究の現時点での進捗と今後の方向性を示したもの。2点目は「新型コロナの長期的影響に対するサービスと支援PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」で、新型コロナウイルス感染症患者や家族などが地域社会で安定的な生活をするためのサービスと支援の情報が含まれている。

1点目のアクションプランに関するレポートには、新型コロナウイルス感染症の後遺症を患う人の44%が感染拡大前と比較して後遺症のために仕事が全くできない状態にあり、51%は就業時間を短縮せざるを得ない状況だとの報告が含まれている。同アクションプランは米国政府機関のために作成され、議会や官民の研究者に情報提供することを目的としているが、各州の政策立案者や、研究者への財源機関、医療従事者、新型コロナウイルス感染症の後遺症患者、医薬品メーカーや一般の人々に関連する情報も含まれているとしている。

2点目のサービスと支援に関するレポートには、新型コロナウイルス感染者が精神病にかかったり精神に関わる処方を受けたりする確率は通常より60%高いとの調査結果や、新型コロナ禍で1824歳の25%が調査日から過去30日以内に自殺リスクがあったと回答したとの調査結果もある。同レポートは、新型コロナウイルス感染症による後遺症の身体的な支援に限らず、メンタル面の支援、就職や住宅などに関する情報、身内を亡くした人に対する支援、医療従事者に対する支援へのリソース情報なども含まれている。

ジョー・バイデン大統領は45日、HHS長官に対して、上記の2種類のレポートを120日以内に提出するよう求めていた。米疾病予防管理センター(CDC)でも、新型コロナウイルス感染症の後遺症に関する特徴やリスク要因、根本的なメカニズム、健康への影響に関する重要な疑問への答えを出すことがバイデン政権から求められた課題となっており、527日には後遺症に関するレポートが発表され(2022年6月6日記事参照)、上記レポートにも引用されている。CDCはまた、新型コロナウイルス感染症による後遺症に関する研究外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますへの参加者を随時募っている。

(吉田奈津絵)

(米国)

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