米CDC、新型コロナ感染症の後遺症とワクチン有効性に関するデータを更新

(米国)

ニューヨーク発

2022年06月06日

米疾病予防管理センター(CDC)は5月27日、新型コロナウイルスに感染し、回復した人が長期的に患う後遺症に関するレポートを更新外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたことを発表した。このレポートは2020年3月から2021年11月までのデータをまとめたもので、本レポートによると、新型コロナウイルスに感染してから4週間以上が経過しても症状が持続しているという報告が増えている。

後遺症が残る割合は18~64歳では5人に1人、65歳以上では4人に1人となっている。両年齢層における最も多い後遺症の種類は呼吸器系の症状と筋骨格痛で、最もリスク比(注1)が高い後遺症としては肺疾患が挙げられた。

主要メディアは学術誌「ネイチャー・メディシン」で5月25日に発表された論文をもとに、ワクチン接種が後遺症の症状を防ぐ効果は限定的としているが、CDCが5月12日に発表したワクチンの有効性に関する更新内容外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ファイザー・ビオンテック製およびモデルナ製のmRNAワクチンは、重症化や死亡に至るようなケースに対しては有効があることが明らかになっている。mRNAワクチンを2回接種した場合の新型コロナウイルスに起因する入院リスクの減少割合は、デルタ株およびアルファ株がまん延していた時期については85%、オミクロン株がまん延していた時期については65%とされている。また、mRNAワクチンを3回接種した場合、オミクロン株が優位だった時期における入院リスクは86%減少し、侵襲的人工呼吸器(IMV、注2)の使用や死亡へのリスクは94%減少したとしている。

オミクロン株のまん延中における65歳以上の高齢者の死亡率は、そのピーク時にはデルタ株まん延時より63%高かったことがCDCの記録により明らかになっている(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版5月31日)。CDCのロシェル・ワレンスキー所長は会見や自身のツイッターで度々、「ワクチン接種は新型コロナウイルス感染症で重症化することから身を守るための唯一で最善の方法であることに変わりはない」と呼び掛けている。

(注1)特定の条件を満たす場合と満たさない場合(今回の場合、新型コロナウイルスへの感染の有無)について、ある疾患を発症する確率の相対的な大きさを示した指標。

(注2)Invasive mechanical ventilation(IMV)とは、口や鼻などへの挿管や気管の切開を伴う人工呼吸法、並びにそのために用いられる人工呼吸器を指す。

(吉田奈津絵)

(米国)

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