8月から新型コロナ入国規制を再緩和、トラベラーズカード不要に

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年08月01日

マレーシア保健省は730日、新型コロナウイルス感染症に関わる入国規制を一段と緩和すると発表した。マレーシアへの入国に先立ち、政府の新型コロナ対策アプリ「MySejahtera」(マイセジャテラ)内で発行するトラベラーズカードについて、81日以降は取得を不要とした。

トラベラーズカードは、4月の国境開放に際して新規導入された手続きで、アプリ内の出国前フォームに必要事項を記入すると、電子的に発行される仕組みだった。51日以降、ワクチン接種完了者に関しては全ての検査を廃止するなど、大幅な規制緩和を実施していたが(2022年4月28日記事参照)、それ以来3カ月ぶりの再緩和だ(注1)。なお、ワクチン接種未完了者に関しては特段の追加発表はないため、年齢によっては検査や隔離が課される。

また、空港などの入国地点では、体温測定を行うなど引き続き旅行者の症状をモニタリングするという。何らかの症状を感知した場合にはさらなる健康診断を行い、「検診の結果、新型コロナ、サル痘、中東呼吸器症候群(MERS)などの感染症の疑いがある場合は、近隣の医療機関を受診し、精密検査や治療を行うことになる」と、カイリー・ジャマルディン保健相は述べた(注2)。

マレーシアでは、1日当たりの新型コロナウイルスの新規感染者数は3,0005,000人台で推移し、7月以降緩やかに上昇しつつあるが、現在のところ爆発的な増加には至っていない。医療体制も健全で管理された状態であることから、入国手続きは新型コロナウイルス感染拡大前の運用にさらに近づいた。

(注1)マレーシア人に対しては、74日に既にトラベラーズカードの運用を廃止していた。今回の緩和措置はこれを外国人に対しても拡大したもの。

(注2)政府は5月以降、サル痘流行地域からの入国者に対して、マイセジャテラを通じた健康状態の報告を21日間にわたり求めている。感染者には同アプリを通じて自宅隔離命令を出し、濃厚接触者の追跡も行う。新型コロナウイルスで培ってきたアプリの機能を、サル痘、デング熱、手足口病といった他の感染症の追跡・監視にも応用しつつある。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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