外国企業によるM&A型対内投資の審査体制を強化
(韓国)
ソウル発
2022年08月25日
韓国産業通商資源部は8月23日、外国人投資促進法に基づく合併・買収(M&A)型の対内投資(注)の安全保障審査の基準と手続きを規定した「外国人投資安全保障審議手続き運営規定」を改正し、翌24日から施行した。
外国企業から対内投資の申告などがあった際の従来の安全保障審査の手続きは、受託機関〔KOTRA(大韓貿易投資振興公社)、外国為替銀行〕が情報捜査機関の長または主務長官に外国人投資委員会での検討を要請し、外国人投資委員会における審議および議決を経て、産業通商資源部長官が最終的にM&Aの可否を決定していた。今回の改正により、新たに政府関係機関や専門家から構成される専門委員会を設置し、専門委員会で事前検討を経た上で、外国人投資委員会で審議・議決し、産業通商資源部長官が最終的にM&Aの可否を決定する。これに併せて、国家安全保障への影響の基準などを新たに設け、外国人投資家によるM&A型対内投資の際の透明性や予見可能性を高める。
安全保障審査の対象の範囲は、従前からの改正はなく、(1)防衛事業法に基づく防衛産業物資の生産に支障をきたすおそれがある場合、(2)対外貿易法に基づく輸出許可または輸出承認品目・技術として軍事転用の可能性が高い場合、(3)国家情報院法に基づく国家機密として扱われる契約などの内容が公開されるおそれがある場合、(4)国際平和および安全維持のための国連などの国際的な努力に深刻かつ重大な支障をきたすおそれがある場合、(5)産業技術の流出防止および保護に関する法律に基づく国家核心技術の流出の可能性が高い場合、と定められている。
なお、今回の改正はM&A型の対内投資に限定し、グリーンフィールド型の対内投資には適用されない。
(注)2021年の韓国の対内投資全体(3,088件、295億1,300万ドル、申告ベース)のうち、M&A型は317件、114億2,100万ドルだった。また、2022年1~7月に申告された対内投資168件のうち、審査対象案件はなかった。
(当間正明)
(韓国)
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