在住者の約6割が新型コロナ感染、ワクチン定期接種も検討
(シンガポール)
シンガポール発
2022年08月05日
シンガポールのオン・イエクン保健相は8月1日の国会答弁で、同国在住者の推定約6割がこれまでに新型コロナウイルスに感染したとの見方を明らかにした。ただし、保健相は、新型コロナウイルスが変異を続けるという科学者の見解を指摘し、同国が集団免疫を獲得するのは難しいとの考えを示した。その上で、シンガポールでは今後、定期的な新型コロナウイルスのワクチン接種をする方向で検討中だと述べた。
保健省によると、同国では8月1日までに171万8,765人の新型コロナ感染者が確認されている。オン保健相は同感染者数が人口の約3割に相当すると指摘した。診療所などで血液モニター検査から判明し、報告されていない過去の感染事例なども加えると、同国在住者の約6割が感染したと推定されるという。
同国では6月14日以降、新型コロナ感染者が再び増加に転じている(2022年6月29日記事参照)。オン保健相は国会答弁で「オミクロン株の派生株『BA.5』による感染の波の中に依然としてある」と述べた。しかし、過去1週間の感染者の増加率(実効再生産数)が新規感染者数の減少を示す0.9を下回っていると指摘し、今週中にも感染の勢いはさらに沈静化するとの見通しを示した。
また、オン保健相は、新型コロナワクチンの効果がやがて低下し、感染経験者の免疫も薄れれば、再び感染が拡大するとも述べ、「ワクチン接種も常に更新し続けることが大事だ」と強調した。保健相は9カ月または1年の間隔でワクチン接種を求める可能性を指摘し、保健省が今後数カ月に接種間隔の期間を決める計画であることを明らかにした。
保健省によると、8月1日時点で同国の人口の93%が新型コロナワクチンの2回目の接種を終えており、3回目の接種完了者が79%だ。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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