新型コロナワクチンの追加接種対象者を拡大、秋冬に向けた新対策も予定

(ドイツ)

ベルリン発

2022年08月25日

ドイツの常設予防接種委員会(STIKO)は818日、新型コロナウイルスワクチンの追加接種などに関する新たな推奨事項を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

2回目の追加接種(通算4回目の接種)は、基礎疾患があるなど感染リスクが高い人々の重症化と、医療逼迫の防止が目的。(160歳以上の者、(2)医療・介護従事者、(35歳以上で基礎疾患を有し新型コロナウイルス感染症の重症化のリスクが高い者への接種が推奨された。これまでは70歳以上の者に接種が推奨されていたが、対象者を拡大した。追加接種用のワクチンは、米国ファイザーとドイツ・ビオンテック製または米国モデルナ製が推奨されている。なお、60歳未満で基礎疾患がなく、既に合計3回は新型コロナウイルス感染あるいはワクチン接種をして免疫を獲得している者(そのうち少なくとも1回はワクチン接種による免疫獲得)については、2回目の追加接種の効果は限定的だとして、当面、推奨はしないとしている。

さらに、新型コロナウイルスの曝露(ばくろ)前予防薬(PrEP、注)である英国アストラゼネカ製「エブシェルド」の投与も推奨された。推奨対象者は、12歳以上かつ体重が40キロ超の者で、ワクチン接種により十分な免疫応答が得られない免疫不全の患者や、医療的な見地からワクチン接種ができないが重症化リスクの高い者だ。

秋冬の新型コロナ感染拡大に警戒、法改正を予定

連邦政府は、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を定める感染症予防法(2022323日記事参照)改正案を提案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしており、今秋冬の感染拡大に警戒感を強める。改正案は9月初旬に連邦議会(下院)で審議開始、101日から新たな新型コロナウイルス対策の適用を目指す。改正案には、ワクチン接種証明書、回復証明書、陰性証明書のいずれかの保持者に対して、飲食店、文化・スポーツ施設などの屋内でのマスク着用義務を、免除できるとする措置が盛り込まれた。ドイツホテル・飲食店業連盟(DEHOGA)は同措置に対して811日、証明書の確認作業は人件費増につながると同時に、証明書の確実な確認は現実的には難しいと主張するなど、改正案には強い反発が示されている。

(注)Pre-exposure prophylaxisの略。感染症の病原体の侵入を防ぐ曝露前予防内服。

(中村容子)

(ドイツ)

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