米商工会議所がオンラインセミナー開催、ハイブリッドワークは人材確保のカギと紹介

(米国)

ロサンゼルス発

2022年08月19日

米国商工会議所は811日、労務に関するオンラインセミナーを開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、経済の先行き不透明感や従業員確保といった困難に直面する中小企業に対し、効率的かつ効果的なハイブリッドワーク(注)戦略を構築する方法について解説した。同セミナーは、同商工会議所の提供するセミナー「Start. Run. Grow.」の1つとして開催された。

米国商工会議所でエグゼクティブ・バイス・プレジデントなどを務めるニール・ブラッドリー氏は、中小企業が有能な従業員確保に苦戦しているのは、ベビーブーマー世代の退職や、子育てによる労働市場からの退出、小規模企業の新規設立による労働力の減少によるものと指摘。その上で「中小企業で働くと、従業員全員を対象とするような方針転換をすることなく、予想外の事態に対応できる。(予期しない状況下でも柔軟な対応を取って支えてくれるという点で)従業員は家族の一員のように扱われるということは、中小企業の魅力として売り込める」と説明した。

セミナーに登壇した人材派遣会社のタレントリーフ(本社:コロラド州)で最高経営責任者(CEO)を務めるリッチ・クロフォード氏は、自社でのハイブリッドワークの取り組みについて、リモートワーク中心としつつも、必要なときにはオフィスを活用していると述べた。また、同氏はハイブリッドワークへの移行を通じて従業員を全米から採用することが可能となったという。

コンサルタント会社のロッシ・エンタープライズ(本社:イリノイ州)のビル・ロッシCEOは、ハイブリッドワークの下で従業員と経営者が信頼関係を築く方法を問われ、「毎週必ず会議を開催し、個人的および仕事での良いことと悪いことを共有し、チームのほかのメンバーにエールを送る場としている」と答えた。また、仕事の生産性の管理に対しては、電話やビデオ通話の利用状況などを記録することでパフォーマンスの管理ができているとし、従業員が責任をもって仕事ができる環境を整備しているという。

新型コロナウイルス禍で期せずして拡大したリモートワークやハイブリッドワークは、従業員に柔軟で新しい働き方を提供している。人材不足が深刻化する中で優秀な従業員を維持・確保するため、これらの新しい働き方を恒常的な制度として積極的に取り入れていく可能性も考えられる。

()リモートワーク(テレワーク)とオフィス出勤を組み合わせた勤務態勢を指す。フルタイムあるいはパートタイムのいずれの雇用形態かは問わない。

(サチエ・ヴァメーレン)

(米国)

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