高齢者人口が中国一の山東省、日本との関連シンポジウム・商談会を実施

(中国)

青島発

2022年08月31日

ジェトロは824日、中国・山東省済南市において、山東省政府ならびに中国国際貿易促進委員会(CCPIT)との共催で「対話山東-日本・山東産業協力交流会」(以下、対話山東)を開催した。対話山東は、2020年から毎年開催されている、山東省内で最大級の日中経済交流イベント。3回目となる今回は、高齢者産業をメインテーマとして行われた。

山東省は、中国国内第2位となる1億人超の人口を擁する。60歳以上の人口は2021年末に国内最多の2,151万人に達しており、同省では高齢者施設や介護サービスなどの充実化・多様化に対するニーズが高い。そのため、ジェトロでは、同分野でのビジネス交流イベントを2014年から継続的に実施している。

同日の対話山東は、午前のシンポジウムと午後の関連イベント・個別商談会の2部構成で開催。午前のシンポジウムでは、周乃翔省長から日本側へ、高齢者産業分野での連携強化の呼びかけがあり、関連企業などからは同省における高齢者産業の発展の可能性・課題の提起があった。また、日本側からは、ケアマネージャーをはじめとする関連制度を紹介するなど、幅広い情報発信や意見交換が行われた。

午後の商談会には、高齢者産業に関連する日系企業18社がリアル形式で参加。中国側からは46社の来場があり、山東省における高齢者関連プロジェクトへの日本からの製品・サービスの織り込みなどに向けて、商談や情報発信が活発に行われた。参加日系企業からは、「中国側が要望する内容がより具体的になった」「配食サービスなど、中国側でこれまで関心の低かった分野にも目が向き始めていると感じた」「日本側にも今まで以上に現地の課題に即した開発力が求められそうだ」といった声が聞かれた。

中国では、儒教における伝統的な徳目の1つである「親孝行」の意識が強く、高齢者施設の利用に抵抗感を持つケースもあり、また日本と異なり、介護保険制度は試行段階にあることからもビジネス化には難しさがある。一方で、中国国内において内需拡大に向けて各種政策が打ち出され、日本企業が市場拡大を図る中でも、これまでシルバー消費に関連する市場は開拓が十分ではなかった。今般、中国国内では消費意欲が高い世代の高齢化が進んでいることからも、シルバー消費に係るビジネスの将来性が指摘されている。

写真 シンポジウムの様子(ジェトロ撮影)

シンポジウムの様子(ジェトロ撮影)

写真 商談会の様子(ジェトロ撮影)

商談会の様子(ジェトロ撮影)

(吉川明伸

(中国)

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